神なんて!【15】

何やかんやで無事薄桜中学に入学した俺と千鶴は、真新しい制服に身を包んでいた。少し大きめの学ランでは着られてる感ハンパないが、そのうち気にならなくなるだろう。


「同じクラスで嬉しいです。」


「だな。他にも山内とかも一緒だし、楽しみだな。」


同じ小学校の時クラスだった奴らも何人かいたので、心強い。オリエンテーションだけで終わったので今日は午前中だけで終わりだった。今日は道場もないし、どうするかな。一は学校だし帰ってくるまで暇だな。



「そういえば部活はどうするんですか?」



「んー…あんま惹かれるものもねぇし、帰宅部でいいかな。そのまま道場続けられるし。」


前はどんな部活でもいいから入って道場に行かなくていいようにと思っていたが、その必要もなくなったしな。



「千鶴はどうするんだ?」



「まだ分からないですけど、道場に行けなくなるのは寂しいので、私も帰宅部にしようかなと。」



「そっか。」


斎藤さんも、ようやく打ち解けてくれましたしー、なんて笑う千鶴に苦笑する。あれから本当に斎藤は千鶴と良く話すようになった。何でも恋バナをしてるらしい。詳しくは教えてくれないが、頬を赤らめはぐらかす一が可愛いから何も言わない。千鶴曰く惚気らしい。



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「え、二人とも部活には入らねぇの?」


平助の疑問に俺と千鶴は軽く頷いて肯定する。翌日部活見学などもして来た俺達は道場にそのままやって来ていた。


「ああ。剣道部はないし、他に惹かれる部活もねぇし。それなら入らねぇで道場来た方がいいだろ。」


「まぁ、それはそうだけど。千鶴ちゃんも?」


「はい。こちらに来た方が楽しいので!」


にこにこと笑う千鶴に総司は「ふーん」と興味があるのかないのか分からない相槌を打った。そこへ「悪い、遅くなった。」と言いながら遅れて左之が道場へやって来た。左之は千鶴を見ると「おお、セーラー服か、千鶴、似合ってる」と褒めた。それに千鶴は若干頬を赤らめ「ありがとうございます。」と応えた。


「左之さん、セクハラー」


「中学生にまで手を出すのはどうかと思うよー」


「はいはい、悪かったよ。」


苦笑し、そうそうに降参した左之に笑いが起こる。けれどちらりと見た千鶴の顔はどこか寂しげで泣きだしそうだった。


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