神なんて!【12】



「おー、トシも千鶴ちゃんもスマホ買ってもらったのかー」



「しかも生意気にも最新型じゃん。」



約束通り道場の休憩中連絡先を交換していると、目敏くそれを見つけた平助と総司が声を上げ、結局みんなと連絡先を交換することとなった。まぁ、別に構わないが、高校生と中学生でそんなに連絡とることあるのか?道場で会うのに必要か?とも思ってしまった。そして、どこか斎藤が悲しそうな顔をしていたような気がするが気の所為だろうか。



首を傾げつつ稽古を終えると、千鶴を送るために外に出た。最近は春休みということもあり早めに帰るから斎藤とは帰りは別だ。



「待て」



背後から斎藤の声が掛かり振り向くと、着替えと荷物を持った斎藤がいた。


「一姉ちゃん、どうしたの?」


「少し用があってな。今日は一緒に帰る。いいか?」



「え、あ、ああ。」



どうかしたんだろうか。どこか緊張した様子でそう言った斎藤は、では行くかと千鶴の家の方へと歩き出した。




□□□□□



千鶴と別れ二人っきりの帰り道、いつもなら会話もあるのだが、暫くぶりの斎藤との間には気まずい空気が流れていた。避けていたという負い目もあるのかもしれないが、非常に気まずい!というか、用ってなんだ。



「トシ…」


「何、一姉ちゃん。」


か細い斎藤の声に歳三は立ち止まり斎藤を見上げると斎藤は悲しげに目を伏せ、歳三の袖を摘んだ。何があった。こんなに表情に出るほど悲しい何かがあったんだろうが、どうしたんだ。


「私は…トシに、嫌われるような事をしてしまっただろうか。」


「え…」



「私の事、避けているだろう。」



気づかれていたか。まぁ、斎藤を誤魔化せるとは思ってなかったけど。もしかして、それでこんな悲しい顔をしているのか。いやでも、斎藤的には年下の幼なじみが姉離れするようなもんだろ。



「そんな事「ないとは言わせん。」」



あれぇ、かなりお怒りでいらっしゃる?ポリポリと頭を掻くと、どうしたもんかなぁと溜め息をついた。すると、斎藤は泣きだしそうに顔を歪めた。え、マジですか!?何で、どうして?と思っていると、斎藤はか細い声で「あの日から…トシの好きな人の事を聞いてから、避けられるようになった。総司達は、そういう年頃だと言うが、私にはそうは思えん。何か気に触る事をしてしまったんじゃないかと…」と語る。もしかして、ずっとそれを気にしてたのか。うーん、俺としてはこんなに悲しませるつもりはなかったんだがな。



「一姉ちゃん、違う。一姉ちゃんは何も悪くないよ。」



「だが…」


「総司達の言う通り、もうすぐ中学生になるんだし、いつまでも一姉ちゃんに甘えてばかりじゃダメだと思ったからだよ。」


「…本当に?」



「…うん。」



「そうか…。」


寂しげに斎藤は頷くと、きゅっと歳三の手を握った。


「一姉ちゃん?」



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