月影【14】


「それじゃ、色々と世話になったな。」



圓杜と見送りにやってきた子度達に別れを告げると、「行っちゃヤダー」「どうしても行っちゃうの?」と子供達が別れを惜しんでくれた。こうも懐かれるのは悪い気はしない。



「それにしても仕事が出来たから出ていくって、急だよねー」


今のご時世、普通海客に仕事なんて来ないよ?と続ける秀英に苦笑いしか出てこない。


「まぁ、俺は運良いからな。」


「ふぅん。ま、そういう事にしといてあげるよ。」



にんまりと笑う秀英は何処まで気付いているのだろうか。深くは聞けやしないが、そっとしておいてくれる事は有難い。



「それじゃぁな、仕事が一段落着いたらまた来る。」


□□□□□


「知ってたか、洛州では税は五割だそうだ。」


玄英宮に戻っで、自室に戻ると共にやって来た一へとそう告げた。一は驚きに「五割…」と目を見張り呟いた。土方は王について直ぐに、今は皆厳しい時故、税は一割でと勅令を出していた。それなのに五割。残りの四割はどこに消えているのか。


「聞けば七割としている州もあるらしい。」


「七割も!?」


「ああ。まぁ、実際はそんなに徴収出来てないらしいがな。ちなみにお前の直轄地である加州では三割だそうだ。」


「…そんな。」



頭を抱え絶句した一に、土方はまぁそうなるよなと思った。圓杜から、教えられた時は土方も愕然とした。


「という訳だ。官吏の異動をしようと思う。だが俺達には信頼出来る臣が少な過ぎる。」



「そう…ですね。」



「あと州侯を監視する役職を置かなければならねぇ。」



「はい。」



「指令も使って使えるやつを探すぞ。」



土方の言葉に一は頷くと指令に官吏達の様子を探るように告げた。




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