loveprison【2】

「No.249、ついて来い。」


1人の看守が重々しく告げた言葉に周りはシーンとなり動きを止めた。No.249それは、間違いなく斎藤一に与えられたココでの番号である。斎藤は嫌な予感を感じながらも牢から出ると、看守の元へと向かった。看守は値踏みするかのように斎藤を見ると、くるりと向きを変え歩きだした。


「あいつか…今度はどれくらい持つと思う?」


そんな声がさざめく中、斎藤は看守の後を付いていく。方向は独房、どうやら嫌な予感は当たってしまったようだ。心の中で舌を打つもどうしようもない。脱獄も何も出来やしないのだから。



「一つだけ忠告しておく。?何をされても逆らうな?」


「…。」


コツコツと足音だけが響き渡る廊下で下された言葉は死刑宣告に近いのだろう。果たして例のNo.23とはどういう男なのだろうか。



□□□□


「へぇ、今回の羊は随分と可愛らしいのが来たな」


くつくつと笑う目の前の男、No.23を見遣りながら斎藤は密かに驚いていた。何人もの囚人達を壊してきた、囚人の誰もが恐れる男とはどんな屈強な男なのか、恐ろしい男なのかと思っていたのに、目の前の男は予想とは真逆の細身の美麗とさえいえる容姿をしていて、とてもじゃないがそうとは思えない。


「で、お前は何をやって務所に来たんだ。」


「…人を、殺した。」


「へぇ、何人?」


「…1人だ。」


そう言うとNo.23は軽く目を見張ると、「はっ、なんだションベン刑か。」とくつくつと肩を揺らし笑った。


「ま、生きて出られるといいな。」


無事でなとニヤリと笑って告げる男に斎藤はぞくりと背筋が凍ったような気持ちを抱いた。


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