運の悪い女と運の良い男【6】


とりあえずいきなり出掛けるのはハードルが高いし、土方的にバレたら不味いだろうということで初回は家に来ることになった。何故か…。


本当に何故だ。あの土方歳三が?この狭いアパートに??きゃぁきゃぁと床に転がり遊ぶ千鶴と薫を横目にせっせと掃除を続ける。



今でも夢だと思いたい。



「やぁー、それかおの!」


「ちやうもん、ちーのだもん!」


くるくる


ころころ


一つの玩具を2人で引っ張り合いころころと転がる二人に苦笑しながら、「二人とも、仲良しで遊びなさい」と声を掛けると「うー、はぁい」と返事をしてまた転がり出す。



「千鶴、薫、明日お客さんが来るがいい子に出来るか?」


「おきゃくたん?」



転がったままコテンと首を傾げる二人にくすりと笑うと「ああ。仲良し、出来るか?」と問う。二人は顔を見合わせへにゃりとそっくりに眉を下げると「わかりゃない」と不安そうな答えが帰ってきた。



「そうか。分からないか。」


ふふっと笑うとぎゅーっと二人を抱き締めた。親馬鹿だろうがなんだろうが、うちの子が一番可愛い。



□□□□□□



「明日か…」


とある高層マンションの最上階の窓から外を見下ろし土方は溜息のような呟きを洩らした。


明日は山南の思惑により斎藤という女の家に邪魔する事になっている。問題は斎藤よりも、子供だ。話だと双子で、まだ2歳だという。土方にとっては未知のモンスターのようなもので、明日が憂鬱なものに感じる。



泣き喚かれてもどうしようもねぇぞ。



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