運の悪い女と運の良い男【13】

「だ、大丈夫ですか?」


公園のベンチに座り込みピクリともしない土方に声をかけると「公園が、こんな疲れる場所だとは思っていなかった…」という力ない答えが返ってきた。
午後こら仕事らしいのに大丈夫だろうか。土方が疲れる原因となった二人はお構いなしに砂場で二人の世界を繰り広げている。



「…少し慣れたからって調子に乗るなってことだな。これじゃ、クランクインに間に合わねぇ…」



落ち込む土方の背をおずおずと撫でさすりながら「ドラマでは、すぐに子供と仲良くならなければいけないのですか?」と問う。


「いや…徐々にって話だが。」


「なら、丁度いいのではありませんか?千鶴や薫とも徐々に慣れていけば…その方が自然なのでは?」



黙り込む土方にハッと我に返ると「すみません、よく分かりもしないのに…」と謝ると、ゆるりと土方の首が横に振られた。


「いや、確かにそうたよな。ありがとう。」


帽子を目深に被り眼鏡といつもと違う格好なのに、ふわりと笑顔を向けられ一の胸が高鳴り頬が熱くなった。


「「ちゅーしゅるの?」」


「え?」


「は?」


振り返ればベンチの傍に双子がいて、わくわくとコチラを見ていて二人は慌てて距離を取ると、「ちゅーは?」と騒ぐ双子を諌めるのだった。




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