【3】
今までにないくらい学校が終わるのを心待ちにしていたような気がする、とやっとの思いで帰宅した一はぐったりとベッドに横たわった。
疲れた
非常に疲れた1日だった。
これから毎日精神をすり減らしながら通わないといけないのかと思うと泣けてくる。
(いや、クラスメイト達も先生も悪くないんだ。むしろ親切で優しいし…ただ学校そのものに気後れというか付いていけないだけで。慣れるまでの我慢…慣れるのか…?)
『一!ご飯よー』
母の声に重い体を起こすと溜め息を1つ零し、部屋を出ていった。
「学校はどうだった。」
「……」
食事中、父から出た質問に言葉が出なかった。正直に付いていけない、疲れたと言っても良いものか…。
「…お父さん…何故あの学校なのですか?」
通える範囲にはあの学校でなくてもあったのに。普通の学校が!!
「嫌なのか?」
淡々とした口調の父に一は慌てて「いえ、そういう訳ではないのですが…。あまりに敷居が…学費は大丈夫なのでしょうか」と口ごもりながら言った。
「ああ、それなら問題はない。」
あっさり言い切られてしまい、一はただ「そうですか」と答えるしかなかった。
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「あの子、トシ君に合わなかったのかしら?」
「あの様子ならまだなんじゃないか。」
「つまらないわー。びっくりするとこ見たかったのに」
「その内、分かるだろう。」
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