destiny【3】
情けない


風呂上り、くたりとベッドに横たわった斎藤は自己嫌悪に身体を丸め溜め息をついた。ただ頭を撫でられただけで、あんな…。


唇を噛み締めきゅっと己の体を抱き締める。ただあの人が他意なく触れただけでカッと熱を持ったように熱くなり、危うく…。


ギリギリのところで離れられて良かった。そうでなければ自分ははしたなくもあの人にとんでもない事をしていたかもしれない。


触れられて喜ぶ心と、反応する体に自分はやはりΩなのだと思い知らされる。どんなに自分が否定したくとも。


今日の事を思い出すだけで熱くなる体に怯えるように斎藤は己の体を強く抱き丸まった。




□□□□□□


「また、あんた達は…」


朝の風紀委員の務めである遅刻者チェックに、似たような顔ぶれが揃っているのを見て、斎藤は呆れ果てたと溜め息をつくとウンザリした様子で見遣った。


あちゃーと天を仰ぎ何とか見逃してよと往生際が悪く言ってくる藤堂平助。
肩身が狭そうに萎縮し申し訳なさそうにしている雪村千鶴。こちらは幼馴染みの藤堂を待っていたがための遅刻であろうから、少々気の毒だ。



そして反省の色もなくヘラヘラと笑っている遅刻常習者で色々と問題児でもある沖田総司。


「見逃すことは出来ん。雪村、あんたはいい加減藤堂を見捨ててもいいと思うぞ。」


眉を潜め告げると遅刻者リストに3人の名前を入れていく。


「ねぇ、一君…香水でも付けてる?凄い甘い匂いがするよ。」


「はぁ?そのような物は付けていないが…」


総司の言葉に不思議そうに首を傾げ、総司も「確かに一君が香水とか付けるわけないよねー」と不思議そうに呟いていた。



まさか、コレが前兆とは知らなかったんだ。



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