destiny【22】

何やかんやでハロウィンイベント当日。土方も斎藤も告白することなく来ていた。土方としては段々と原田の目が据わって来ており、『ヘタレ』とボソりとすれ違いざまに言われるようになってしまった。
これで今日斎藤に告白しなかったら、大っぴらに『ヘタレ』と呼ばれるのだろうと思うと背筋が寒くなる。ここぞとばかりに馬鹿にして来るだろう奴が何人かいる。それも腹の立つやつばかり。



「くそ…覚悟決めねぇとだな。」


原田に言わせれば『今まで猶予あっただろうに覚悟してなかったのかよ』と苛立ちの篭った一言を告げたであろう一言を零すと開会式のため体育館に向かった。



ここぞとばかりに凝った仮装をした奴や、面倒だったのだろう適当な仮装のものとひしめく体育館で、斎藤や総司、平助に千鶴が人塊になっていた。
千鶴は可愛らしい魔女で、平助が狼男、総司某悪魔で執事、斎藤はその主人の伯爵の格好をしていた。


「にしても、今年も総司達の仮装すげぇなぁ。」


「あはは、姉さんが今年も張り切っちゃってね。」


「斎藤さんの仮装、素敵ですね!可愛いです!」


「かわっ!可愛い!?」


千鶴の言葉にかぁっと頬を染めながら「ち、千鶴の方こそ…その、似合っている」と恥ずかしそうに言った。


「ありがとうございます!!えへへ、今日が楽しみで私も張り切って用意したんです!」


にこにこと笑いスカートの裾を摘む千鶴を平助はあからさまに顔を赤くしながら褒め、総司はにんまりと目を細めながら軽口混じりに褒めた。




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