destiny【18】

「焦れったい…」


少しばかり苛立ちが篭った原田は呟き、目の前の缶ビールの群れを睨み付けた。


「あ?何がだよ」


風呂から出てきた不知火がわしわしとタオルで長い髪を拭きつつあらわれた。手には冷蔵庫から出して来たらしい缶ビール。原田はキッと不知火を見遣ると「斎藤だよ!斎藤!」と怒鳴った。


「酔ってんな…。で、斎藤がどうしたって?風紀委員の優等生が、何したよ。」


呆れたようにしながらも向かいに胡座をかいて座ると話を聞くていで促した。これをスルーしようものなら拗ねて面倒な事になるのは既に体験済だ。


「それがな!!運命の番見つけたってのによ!迷惑になるとか言って…もう、こっちから見たら両想いなのに、見てて焦れったくて仕方ねぇ!!つーか、斎藤鈍い!!」


バンっとテーブルを叩き熱弁を奮う原田に不知火は「あー…斎藤は見るからにそういうの疎そうだし、仕方ねぇんじゃねぇか」と、淡々とした答えを返す。あの堅物の風紀委員が色恋に積極的に動くとこなど、あまり想像がつかない。良いとこささやかに好きですって空気出す程度がやっとだろう。


「分かってるけどよぉぉ……アイツにも幸せになってもらいてぇし、ほっといたら何時まで経ってもあのままで進展しねぇ気がする。」


くたりと突っ伏した原田に、不知火も相手は誰かは何となく把握はしてるが、斎藤自身を何とかしねぇと無理だろうなと苦笑する。



「もう相手をせっつくしかねぇんじゃねぇの?」


「だよなぁ…。」



何かを考え出し「何かねぇかなぁー」とボヤく原田に、不知火はやれやれと少し温くなってしまったビールを口にした。


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