destiny【16】


「やっぱり斎藤がいると違うな」


また辛いヒートが終わり登校して初日の遅刻者の集計結果を土方先生に見せに行くと、苦笑した先生がポツリとそう呟いたので斎藤はきょとんと首を傾げた。


「お前がいないと、どうも締りが悪くてなぁ。言い逃れされて逃げられたりも多かったみてぇでな。」



「…風紀委員として、それはあるまじき失態ですね。改善するようにしなくては…」


生真面目にそう答える斎藤に土方はくつりと笑うと「確かに改善は必要だろうな。いくらお前がしっかりしてても頼り切ってるようじゃ話にならん。今度の集まりで俺からも喝を入れておく。」と言うと、「そう言いつつも、俺がお前に頼り切ってるところもあるから人のことは言えねぇがな」と苦笑し肩を竦めてみせた。



「いえ、そんなことは…」



思わぬことで褒められ斎藤は頬を赤らめ俯くと、「俺なんかで土方先生のお力になれるのでしたら、喜んでやります」と小さな声でいった。



「…可愛いな、お前。」


「はっ!?」


かわ、可愛い!?俺のような無愛想な男が可愛い??こ、これはどういう意味なのだ?!どういう反応をすべきなのだ???



「皆が皆、斎藤みたいに素直で健気な奴だったらいいんだけどよ…。」


少し疲れたような顔で笑いながらくしゃりと斎藤の頭を撫でると土方は、遅刻者リストを見遣り溜め息をついた。



土方先生のご負担を減らすために、よりいっそう頑張らねば!!



そう決意の炎を燃やす斎藤だった。



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