【12】

ゴロゴロと遠くなった雷の音を聞きながら、少しは落ち着いた様子の一と共に冷えた体を温めるため風呂に入っていた。



といっても一はまだ雷の音が怖いようで土方にくっついている。


(そうだよなぁ…いくらしっかりしててもまだ小2だもんなぁ。)


あまりにしっかりし過ぎている一を、無意識に大丈夫だと思い込んでいたが、こう雷に怯える一を見て初めてまだ子供なのだとしっかり意識したような気がする。


「なぁ…他に苦手なもんとかないのか。」


その言葉に躊躇いを見せながら、一は俯きながらそろそろと口を開いた。


「…夜…。」


「夜?」


一の言葉にどういう事だと首を傾げていると、恥ずかしいのか風呂の中で膝を抱え縮こまるとコクンと頷いた。



「暗くて、一人ぼっちになったみたいで…怖い。」


ポツリと告げられた言葉に土方は瞬くと、少し考え込む。



夜、一人ぼっち…何となく一の言っている事が想像出来てくると、確かに怖いだろうなと納得し頷いた。


土方自身も親が頻繁に遅くなる事があって、まだ幼い自分はシーンとする家で一人でご飯を食べ寝ていた。その頃、夜には不安が襲ってきて中々寝付けないでいたことを思い出した。



(というか、今思えばまだ小学生になりたてのガキを放置…半ば育児放棄だよなぁ)


と、しみじみと思うと溜め息が出た。



「それで、今までどうしてたんだ。」


土方の問に一はまだ細っこい肩をビクリと震わせた。


「…寝れるの、待ってた。」


何だか落ち込んだ様子の一の頭をポンッと撫でると、


「あー…お前、これからはきちんと苦手なもんとか言っとけ。一人で我慢すんな。」


「でも…」


「でもじゃねぇ。」


「…はい。」



コクンと頷いた一の頭をワシワシと撫でると、一はきょとんとしたような顔の後は、少し嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。





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