【10】


結局、一が起きたのは昼近くでこれまた珍しく慌てており泣きそうな顔で二階から駆け降りてきたところでリビングでテレビを見ていた土方と目があった。



「あ、起きたか。学校には風邪で休むって連絡しておいた。」


「え、でも…」


土方の言葉に戸惑い一は、おろおろと目を泳がす。


「今から行っても、すぐ終りだろ。諦めて家でじっとしてろ。」


きっぱりと言い付けられ一は少ししゅんとした様子で頷いた。



「あの…ごめんなさい。」


ぎゅっと両手を握り床を見つめながら、絞り出すようにして謝る。
今まで寝坊なんてしたことなかったのに…。
きっと自分が寝坊したせいで、この人も休むことになったんだ。迷惑をかけてしまったことに心は重く沈んでいく。



「…寝坊なんて、そう落ち込むことでもねぇだろ。」


ポンッと小さな頭に手をのせると撫でてみる。誰かの頭を撫でるなんざ、したことのない経験で動きがぎこちなくなるのは仕方ないことだ。



しかし、予定外の休日なんてどう過ごせばいいんだ。




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