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思春期の男子というと、真面目に何かに取り組む姿を見せるのを恥ずかしがったり、少し悪ぶってみたりと、後々考えると若かったなと苦笑で済ませられることから、思い出すのも恥ずかしい黒歴史となることまで様々な事をやらかす。


高2の土方歳三も例に漏れず青春真っ直中にいた。家が放任主義な事もあり、ちょくちょく夜の町を遊び売られた喧嘩を買っていたら、知らぬ間に地元一帯を締める頭になっていたものだから、本人もそれを知った時は驚いて持っていた缶を握り潰してしまった。



そんなある日の昼、親から「話があるので、なにがなんでも今日は帰ってきなさい。」と珍しく呼び出しがかかり、さずがの土方も何事かと素直に家に帰宅したのだった。





「…というわけで、親戚の子を預かる事になったから。」



これまた珍しく両親が揃ってる事に、「もしかして離婚か?」と密かに考えて見たが、すぐにソレは消えた。未だに「純くんv」「なっちゃんv」なんて、息子の前でも堂々とイチャつく両親だ、離婚なんて有り得ないだろう。
キャッキャとイチャつく両親に溜め息をつくと、「話は?」と切り出すと漸く父親が口を開き要件を述べた。



『親戚に斎藤さんって人がいるんだけどね、海外赴任が決まったらしいの。ただまだ息子さんが小学校2年生だし海外だと治安も良くないから預かって貰えないかってお願いされてね。その人、奥さんを早くに亡くし男手一つで息子さんを育ててるのよ。家以外にはもう頼るとこないみたいだし、幸い家には可愛いげなく育った息子しかいないし、調度いいかなって(*´∀`)」



「…まぁ、そういう事情ならいいんじゃねぇの。」



若干、父親に苛立ちを感じながら了承した。



自分はあまり関わる事はないだろうし、とこの時の土方は軽く考えていた。




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