虹の先【16】


心底、今日で退職となって良かったと思う。でなければ、どのような事になっていたか。



ゴミやらで汚された机を眺め、半ば感心したように溜め息をついた。


PCにはご丁寧にも『淫乱女』という張り紙。



何というか、あまりの幼稚さに言葉も出ない。



「おはよ…って何これ!?」


加藤がぎょっとしたように覗き込んで来たので、「まぁ…イジメというやつだろうか。」と、しみじみと呟いた。



「…何て言うか、今時いるのね…。」



呆れたようにペリッと張り紙を剥がしシュレッダーに突っ込むと、一と二人で片付け始めた。






明らかに苛立ちをあらわにする一に、周りも同情をあらわに見ていた。先程から数分おきに嫌がらせの電話が掛かってきていた。



「………部長。」



「…なんだい?」



穏やかな顔に困ったような表情を浮かべる部長に、ガタリと音を立てると「…少し、席を外します。」と告げると、出ていった。



(((斎藤さん……目がかなり据わってたけど大丈夫(かしら)?))



不安そうな表情て一同は斎藤が出ていったドアを見つめ、顔を見合わせた。





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