【23】


「…戦が始まったと聞きました。」

開け放たれた襖から夕焼けに赤く染まる庭の木々を眺めながら、一はゴロリと横になり一見寛いでいるように見える歳三に向かい穏やかな声音で尋ねた。



「……何だ、もう知ってるのか。」

億劫そうに寝返りを打ち一の方を向いた歳三は何て事のないような様子でそう答えた。



「侍女達が噂をしておりましたわ。それで…どうなさるのですか。」



「とりあえずは様子見だ。直接はうちとは関係ねぇしな。」


「…そうですか。」


歳三の言葉に緊張を解くと、安心したようにホッと肩の力を抜いた。


「まぁ、奥平はうちと同盟を組んでるとこの傘下にいるからな…。近いうちに援軍として出陣することになるだろうよ。」


どうでも良い事の様に告げられた言葉に、一は身体を強張らせきゅっと唇を噛んだ。



「……そうですか。」



だだそれだけを口にすると、すっと移動し、歳三の頭を己の膝に乗せた。



歳三は眉を寄せたが何も言わずに、一の膝を枕にし目を閉じ少しの仮眠をとった。





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