不揃いな家族【24】


じとっとした視線で、斎藤の知り合いだと言う永倉とかいう男を見遣り、和人は眉をひそめた。


千歳は、警戒心なく座っている男の背中によじ登ってみたりして遊んでいる。男も笑いながら、それを許している。


何だか自分だけ気を張っているようで馬鹿馬鹿しくなるが、留守を任されているという自負がある。


「にーちゃん、みて!」


座ったまま肩車をされた千歳が、きゃっきゃと笑いながら何だか誇らしそうにしていた。


「元気な、ちびっ子だなぁ。そういや、名前は?なんっーんだ?」

にかっと笑って、そう尋ねる男に千歳がすぐに「ちとせはちとせってゆーんだよ。」と無邪気に名乗る。


「千歳か、良い名前だな!」


「うん!とー様が付けてくれたの!」


誇らしそうな様子の千歳に男は目を細め「…しっかし、あの斎藤が父様とはねぇ。やるな、むっつり…」と小さな声で呟いた。


「で、お前の名前は?」


無言のまま睨むように見ている和人に問うと、ぶっきらぼうな感じではあったが「……和人…」という返事が返ってきた。








夕暮れ、斎藤が自宅へと戻ると妙な空気が漂っていた。


子供達以外の気配に、ピクリと眉を上げる。何となく懐かしいような感じがする気配、特に敵意や殺気などはない事から子供達は無事だろうと判断する。



「…いま帰った。」


淡々とした口調で玄関を開け中に入ると、居間に懐かしい大柄な男の姿があり、少しばかり目を見張った。




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