不揃いな家族【20】


斗南の生活はやはり厳しいものとなった。木々が生い茂り、痩せた土地しかない場所。



男達は刀から斧に持ち替え、木々を切り倒し土地を切り開く作業に没頭した。


女達は、食糧を得る為に子供達と共に畑を作った。


慣れぬ土地と環境に、倒れた者もいた。
貧しさから生活するために娘や妻を売る者達もいたが、それを責めることは出来ず、黙認していた。


それでも協力し合って何とか贅沢は出来ないが暮らしていけるようにはなった。



斗南に移り住み2年が経った春


「千歳、此処に水撒いて」


「はーい」


8才と4才になった和人と千歳は仲良く畑仕事に勤しんでいた。藩士として保護者である斎藤が仕事で留守にしている間、二人は畑で野菜を育てる事に従事している。むしろ畑は二人に任されていた。


「とーさま、今日は早く帰ってくるかなぁ。」


千歳が畑に水を撒きながらポツリと呟く。


「さぁ、どうだろう。特に遅くなるとは言ってなかったけど。」


離れた場所で草を毟りながら、朝の事を思い出して応えを返す。


いつだったか忘れたが、二人は斎藤の事を父様と呼びはじめた。きっかけは千歳だったか……。最初はぎこちなかったが、今では自然と父としている。



「うまい野菜作って、父様にたくさん食べてもらおう!」



「うん!」



にかっと笑うと黙々と作業に取り掛かった。





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