不揃いな家族【15】
「…どうしたものか。」
ポツリと呟かれた声と共に吐き出された溜め息は、幸いにも誰にも聞かれる事はなく消えていった。
あれ以来、子供達…特に和人が不安そうな瞳で斎藤を伺うようになった。
まるで捨てられるのを恐れるように、いい子でいようとする姿がとても痛々しい。
(いや…¨まるで¨ではない、恐れている…)
事実、和人達を捨てようとしているのではないか?
子供達の為、そう勝手に決め付けてはいなかっただろうか。
「…わからんな…」
連れて行くべきか、行かざるべきか。
「何が分かんねぇんだ?」
「っ……あんたか。」
後ろから聞こえた声に息を飲み振り返ると、ニヤニヤと笑っている佐川の姿があり呆れたように肩を落とした。
佐川はその場に座り胡座をかくと、「で、いつも淡々と澄ました表情のお前が、そんな難しい顔して何に悩んでんだ。…まさか、女か?」と面白そうに聞いてくるのに、心底馬鹿にするように「くだらん」と一刀両断する。
「んじゃ…斗南の事か?」
今までのにやけた表情を引き締め真面目な顔をした佐川は、周りに聞こえぬよう小声で問う。
斎藤はしばし無言で佐川を見返すが、やがて小さく頷く。
「やっぱ、嫌か。まぁ…お前は元々会津とは縁もないし、無理に連れてく訳にもいかねぇからな。仕方ないか。」
残念そうだが、納得したように頷く佐川に「いや、そうではない」と否定すると逆に驚かれた。
「んじゃ、何だってんだよ。」
「…子供達を連れてくべきか悩んでいる。」
そう告げると佐川はポカンと口を開け動きを止めたのに「子供ー!?」と叫んだのを、斎藤はひどく面倒そうに顔をしかめた。
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