虹の向こう【25】


車で4時間ほどの位置にある有名な避暑地にあるホテルにつくと、目を覚ました千鶴は傍目から見ても分かるほどに、はしゃいでいた。


「わぁ、すごぉい!」


土方と一の真ん中に立ち、二人と手を繋いだ千鶴はキャッキャと楽しそうな笑い声を上げていた。



「受付してくるから、ここで待っていてくれ。」


「分かりました。」



「はぁい!」



フロントへと歩いていく土方を見送り、一は千鶴を見てクスリと笑った。


千鶴は嬉しそうに笑い、繋いだ手を揺らしている。



「お父さんと一緒にいられて良かったな。」


柔らかな髪を撫でると、満面の笑みを浮かべた千鶴が大きく頷いた。


「えへへ…おとーさんと、それにはじめちゃんといっしょだもん!」


ぎゅーっと笑顔で抱き着いてきた千鶴の頭をよしよしと撫でると、土方が戻って来た。


「仲良しなのはいいが、とりあえず荷物を置いてからにしてくれるか。」


くつくつと笑う土方に、ほんのり頬を赤く染めると頷く。





(な…何だか、見られているような気がする…)


部屋へと向かう途中、あちこちから視線を感じ一は気まずさに体を強張らせながら首を傾げる。


(…おかしな格好でもしているだろうか?)


チラリと自分の服装を確かめ首を捻る。


薄い水色のブラウスに白色のフレアスカートにミュールという、至って普通の服装なはずなのだが…。


派手な格好でもないし…と内心、困惑でいっぱいだ。


だから本当の視線の意味に気づく事はなかった。






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日帰りは可能だけど、お泊りです(笑)
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