所詮は掌の上の出来事


「どうやって入って来たんでしょうか?」

「う〜ん。身軽だから塀も楽に越えちゃったんだろうね。」


ツナの執務室に行く最中、話し合うハルと京子。
猫は人慣れしているのか、元から人懐っこいのか、暴れもせずに大人しく抱かれている。


“ベルベット…貴女は本当に頭が良いですね。そのまま慎重にお願いしますよ。”


「ニャン」

ベルベットは頭に響く主人の声に、返事をするように鳴く。


「ふふ、可愛い。」


突然聞こえた小さな鳴き声に対して何の不信も抱かず、京子はベルベットを愛しそうに見つめた。


―――――

コンコン

「どうぞ。」

「ツナさん、失礼します。」

「ハルに京子ちゃん。どうしたの?」


抱っこされてる迷い猫の話を聞き二人にも懐いているようだし、屋敷で飼うことを許した。


「ツナくん、ありがとう。」


「ありがとうございます、ツナさん。お世話頑張らなくちゃですね。」


「ふふふ、そうだね。」


その矢先、少し開いた扉から猫が飛び出していってしまった。


「「あっ!」」


「探してくるよ。」

そう言って苦笑いしつつオレは猫を追い掛けた。猫は気まぐれらしいから、仕方ないか。


―――――


トコトコと歩いた先には目的地に繋がる道が続く。もう少しというところで宙に浮く体。


「これ以上先は、立入禁止です。誰であろうと行かせません。」


猫を抱き上げ、言い聞かせるのは六道骸。


“上手にお散歩できたのは褒めるに値しますが、彼に出くわしてしまったのはいけませんね。”


「助かったよ、骸。その猫逃げ出しちゃって、なかなか捕まらなかったんだ。」


探し猫を捕まえていてくれた骸に感謝する。


「おやおや。次から気を付けてくださいね。」


それと、この子はただの猫ではないようです。


「油断、だけはしないように。良からぬ気配が近付いています。」

「お前も感じてるのか…」


これは決定だな。絶対と言っていいほど、悪い事が起きるだろう。


「とりあえず注意すべきはこの子…いえ、この首輪ですね。」


首輪についた鈴が怪しく鳴り響いた。


それを聞いたオレは首輪をそっと猫から外し、ジャンニーニの元に急いだ。


「ジャンニーニ。この首輪、徹底的に調べて。」



もっと慎重に行動すべきですよ、ボンゴレ。今さらからくりに気付いても手遅れです。加えて、気付いた仕掛けは初歩的なものに過ぎない。すでに必要最低限の“映像”はこちらに届いていますから。

完璧な形で成し遂げられるストラテジーはもっと違う場所にある、ということです。

そうですよね、ベルベット?
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