眠る僕らに、注ぐ星

古城は“孤城”と呼ばれていた。丘の上に立つ姿は歴史を感じさせると同時に、いつの日も闇色を纏う。独りきりで永い間を越えてきたのだ。

そこでの時の流れは透明に近い。過ぎゆく時間などあってないようなもの。

今まで流れていった時間の中で光を知ってしまった分、闇の怖さを忘れてしまった。


城への道は閉ざされているわけではない。ただ何も無いかのように見える古城の周りには、無色の壁が存在する。それをくぐり抜けてきたのは、黒と白の両方を持った人。
色を持たない壁は、抵抗しながらも侵入者を受け入れた。



空が落ちる
頭上に落ちる
迫る蒼が恐ろしくて
振り払う



迫りくる自由がとてつもなく怖かった。今の今まで、自由にしていられたのはこの城のおかげだ。それに気付いてしまったら、狭い空間しか知らないのは恐怖に値する。



五つの情緒から生まれた五つの魂は、ひとつずつの感情しか持っていなかった。
孤独の古城に閉じ込められた魂たちは、それぞれの思いのまま生きていた。閉じ込められたのではなく、自ら古城を選んだのだ。
誰もが持っているはずのそれらなのに、自分たちだけは受け入れてはもらえないとよくわかっていたから。

たったひとりを除いて。

まだ足りない。そう言って引き留めた。本当はもう十分すぎるくらいだったけれど、嘘を並べては流れていく長い髪を引き寄せた。




このまま時を過ごしていけば、必ず君を失うことになる。

過ぎ去ったあの日に帰って、離さないと告げればきっと変わるはずだ。

自らに銃口を向け、まだ互いを知らなかった頃へと巻き戻す旅に出る。
- 1 -

[*前へ] [#次へ]

戻る
リゼ