shortshort
2018.03.28 Wed 00:21
やたらに大人な銀さんと、精神的に不安定な女の子。
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──うすらぼんやりとしか覚えてはいないけれど、多分夢を見た。
平和な、夢を。
自分に出来ない事が何もかも出来た。
自分に無いものを何もかも持っていた。
ふつふつと劣等感が沸き上がる。
そして自分で、その劣等感を膨らませる。
自分はとても可哀想なんだと、一種の自惚れを抱くために。
「………ねぇ、銀さん」
「どうした?」
「自分が、気持ち悪い」
貴方の憐憫の情も。
貴方の恋慕の情も。
全て私のものにして、そして私を見ていて欲しい。
称賛も。慰めも。全て全て全て。
「……人間誰しも気持ち悪ィもんさ」
「でも気持ち悪い。こんなのおかしい。嫌だ」
妙に冷静な自分は訴えてくる。
そうやって可哀想だと嘆いてもどうにもならないだろう?
相手にとって迷惑に決まっている。だから、止めろ。
そう思うのに、口は止まらなかった。
「こんな事言って銀さんに可哀想だなって、大変なんだなって、そう思われたいだけなんだよ?おかしいよ、こんな、」
「判った判った。判ったから、一旦落ち着け」
諌められてしまうと何も出来なくなって、途端に黙りこくった。
「そう言う気分の時もあらァな。だから、好きなだけ言ってこい。吐き出しちまえ。
ただ、可哀想だとも、そんな事はねェとも言わねェ。俺はただ聞いてやるよ」
たまにはそうやってがっつり吐き出しちまうのも大事だろ、な?
言いながらがしがしと頭を撫でられて、何も言うことができなかった。
ぼろぼろと、呆然と涙を溢す私に、彼は宣言通り何も口にしなかった。
ただただ私は、彼の耳に醜悪を引っ掛けて。
そうして密かに訪れる安堵に、ひっそりと溜め息を吐くのだった。
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