8.いつか見た夢の中。(ワルツ…城山さん独白)
不敬だと思った。
その女は、誰のものだと知っている筈だろうに。
お前が、あの男を認めたからこそ、野際と相馬を討ったのだろうと叫びたかった。
喚いて悪態を吐いて、全てを曝け出せれば良かった。
…けれど、そんな行為すら虚しいと思って口を噤む。
変わりに、視線だけで松永を捜した。
馬鹿馬鹿しいと思ったのだ。
俺も、お前も。
こんな事に、彼らを巻き込んではいけないのだと、それだけを思った。
林にとって、きっとたいした理由なんかないのだろう。
俺との勝負になど、きっと意味はない。
あぁ、お前はそうして生きていくが良いさ。
この国の人間として、その組の人間として。
だけど、俺は知っている。
お前が誰なのかを。
きっと、お前の女になった、その華も知っているのだろう。
お前は、全てを裏切った男なのだ。
その見知らぬ罪を背負ってでも、その女が欲しかったのか。
その女を、そこまで欲したのか。
あぁ、その罪深さを、けれど訴える俺とて潔白などとは呼べやしまい。
あの日、あの空に消えて行った見知った者達。
生きている事の意味すらも捉えられなかった俺の縁となった者。
大事に大事にしていたと思っていたのに、知らぬ間に、全て零れてしまっていたから。
人間の事情など知る気もないモノが見たら、きっと。
同じ様に穢れていると、呟くだけなのだろう。
あぁ、だけど。
松永には悪いが、やっぱり独りは寂しいから。
手でも握っててくれると嬉しいなぁ…。
極楽なんて望んでいないけど。
野際の夢見た光景くらいは見たかったな。
…お前達が居ないから、不可能だけれど。
平和なんて、俺には分からん。
分かりたくもなかった。
だけど、そうだ。
あの日々は確かに。
平和というヤツだったのかも知れない。

※※※
風邪ひいてて、体調、悪いのですよ。
文がいつも以上に支離滅裂ですねー。
私は野際と城山さんが大好きなんだという話しですよ。
うん、そんだけです。
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