いまから4年前の春の話。とある中東諸国の会社との商談のため、俺の会社と子会社からチームを組んで海外出張に行くことになった。
この仕事は1年間も残業に残業を重ねて積み上げた仕事。もし次の出張で契約がまとまれば、赤字気味の会社も好転するってもんだ。
チームは全部で6人。リーダーは常務。そして語学だけが取り柄の部長。
俺、Aは常務の鞄持ち兼プレゼンター。子会社からは、やり手のB専務。紅一点で俺の仕事上のカウンターパートの主任(T子)。そして通訳役のY君。
出張2週間前、チームの顔合わせということで、俺の会社でプレゼンと書類のチェックが行われた。日頃、T子と打ち合わせているので想定される質問までみっちり打合せ、書類も事前に配布して赤ペンを入れてもらっているので加筆訂正箇所のチェックを行い、午後7時頃解散となった。
全員が集まるのは初めてだし、うちの常務が「第2次打合会を行う。」と発案して、夕食をみんなでとることになった。
常務が「A、店はここな。」と開いた手帳を俺に示した。店に予約を入れ、ワゴンタクシーを会社に呼んだ。
向かった店は、洋食なんだけど、掘り炬燵形式のお店。一応招待した側の人間なんで、一番の末席に座る。
常務が一番奥に座ったので、座る位置はみんな暗黙のうちに自然に決まる。T子は俺の隣。
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