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とある二人の冬のお話。続くかもしれない(¨)です




'O sole mio





昨晩寝るときに降っていた雪は積もっただろうか。と目が覚めてぼんやりした頭で最初に思った。先に起きた彼がストーブを点けてくれていて部屋は暖かく、白く曇った窓に、はあー、と息を吹きかけ町を見渡してみると、思った通り赤い屋根も青い屋根も同じに雪を被っていた。早く外に出たくて、ベッドを下りてスリッパを履いて、上着の袖に腕を通しながら部屋を飛び出そうとした。とその時

「おっと」

「うわ!」

ちょうど部屋に入ってきたロイにぶつかってしまった。その手にはマグカップを二つそれぞれに持っていて、危うく零してしまうところだったみたいだ。

「やっと起きたね、おはよう」

「おはよっ、ねえロイ、外に行きたい」

「今はまだ駄目だよエドワード」

「えーどうして駄目なんだよ。今日くらいいいじゃんか」

「昼間は駄目だ、おいで」

渋々促されるままにベッドへ戻り、温かいココアを受け取ってロイと一緒にまた窓の外を眺める。少し周りの建物よりも高い所にあるこの部屋は、こじんまりとしているけれど俺とロイの城だ。上から見下ろす人々の生活もそれなりに面白いし、向かいの屋根にはいつも同じ猫がいて、寂しい時には相手をしてくれる。

「あ、見てあそこ!雪だるま作ってる」

「そうだね」

「ねえ、どうして昼間は外に出たら駄目なの」

「危ないからだよ。お日様が出ている間は、私達は外に出てはいけないんだ」

「どうして?」

優しい横顔でコーヒーを飲みながら白い世界を見つめるロイ。いつもこの質問には答えてくれない。俺もそれ以上は聞かないようにしているけど、やっぱり夜一人で遊んだって面白くない。ボールを投げても返ってこないし、隠れてみても誰も見つけてくれない。たまにロイが遊んでくれるけど、ほとんど仕事があると言って一緒にいない。何の仕事をしてるのか分からないけど。

「今夜は仕事…」

「ないよ。一緒にいよう。何をして遊ぼうか」

「ソリ!ソリに乗りたいんだ」

「ふふ、わかったよ」

上手く乗れるといいね、とロイは俺の頭を撫で額に小さくキスを落とすと書類を片付けないといけないからと言って部屋を出ていった。
また一人窓の外を見渡す。教会の鐘の周りを飛ぶ白い鳩や、屋台が並ぶ方からの賑やかな声や、寒くても暑くてもいつも恋人が集まる駅前の噴水は、雪雲がかかっていたとしても太陽が雲を透けて明るく照らし、その色は鮮やかだ。でも俺らがそこに行く頃には太陽はなく月明かりだけが街を照らし、人の気がない世界はやっぱり寂しい。
夜の気配はまだまだ遠く、ここにある絵本もおもちゃも皆飽きてしまっていて、仕方なくもう一度布団の中に潜り込んだ。口の周りに残ったココアを舐めると甘い味がした。この前本で見た白ココアというものを思い出す。今晩手に入ったらいいなあ、どこにあるのかなあ、とか考えていれば、自然と眠気の中に誘われていた。







[ギター|水彩色鉛筆|]
リゼ