週末に終末

日曜日。状態が悪化したという内容の手紙が届いた。見馴れた彼の文字は灰なのか炭なのかで少し掠れていたが、俺を心配させまいと気遣う文面はいつもと同じだ。そればかりでなく、俺の事を心配しているのだと言う言葉さえある。いけない、俺はこんなにもたよりない奴だったのかな。最後に恥ずかしいけれど思いを伝えるべく“xxx”と急いで返事を書き、指令部へと持っていく。いつも馴染みのある面々は誰ひとりとして残っていなかった。
受付の情報部のお姉さんに手紙を渡すと笑顔で受け取ってくれた。今回もちゃんと届きますように…。

一日、一日と時間が経つごとに俺の心の中の戦争も激化していった。ロイが家を出たその日から、ほとんど外へ出ていない。もしかしたら帰ってくるんじゃないかと思ってしまうのだ。帰る前には必ず連絡が入ることぐらい分かっているのに。一人きりでいるのにこの家は大きすぎる。そう感じた。

思い出と信頼が、寂しさと不安に負けまいと一生懸命闘っている。それに俺には“約束”という強い味方がついてるじゃないか。ロイが約束を破って勝手にどっか行っちゃうなんて、信じられない。そりゃああいつはああ見えて結構おっちょこちょいだから怪我とかいっぱいしてるだろうけど(心配かけさせやがって)、まさか死ぬなんて馬鹿なことはしないだろう。

「大丈夫だっつーの」

パン、と自分の頬を叩く。俺が弱ってちゃいけないじゃないか。きっともうすぐこの戦争は終わる。それまでの辛抱だ。



週末。どうやら俺の戦争は終わったようだ。

「まーた出世しやがって」

連絡も無しに帰ってきたロイは二人の情報部の部下をつれていた。俺はまんまと彼のドッキリにはめられたらしい。驚きに声が出なかった。
これも、等価交換なねだろうか。だとしたら、この国の勝利なんてなくてもよかった。

「ふふ」

似た者同士だよな俺達。二人とも週末に負けだなんて。
リゼ