1000hit

にゃん子さまのサイト【CAT】で1000を踏ませていただき、ドライブするロイエドをリクエストさせていただきました!
にゃん子さま、ありがとうございました!

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【GOGOッ!!】


一週間前に恋人のエドワードから電話があり、定期報告で東方司令部に来ると言っていた。
短かったが、エドワードから電話がくるのは珍しく、何より声が聞け嬉しかった。名残惜しながらも、静かに受話器を置き、はぁーっとため息を吐いた。
執務室の扉を強めに叩く音がし、ホークアイがいつもより、険しい顔をしながら入ってきた。
それが、きっかけで不幸なことに事件が次々と起きた。
まだ、一週間もあるから余裕だと考えていたことが甘かった。
最後まで手を焼いている事件があり、今回のテロは少しは頭が良いらしく、なかなか尻尾が出ない。
何だかんだ言い、一週間が経ってしまい今、執務室にはエドワードが報告書を持ってソファーに座っていた。
あと、もう一歩で尻尾を掴むところまできている。
エドワードから手伝おうかと言われたが、もう少しで終わるから大丈夫だと言うと、待っていても時間が勿体ないと言われ、資料室の鍵を渡しながら、謝るとロイの左胸にゴンと軽く拳を当てられた。
仕方ねーよと言われエドワードは執務室に出ていった。
せっかく、恋人が帰ってきているのだから、今日には絶対に解決しなきゃ、会える時間が減ると思うと気合いを入れ直した。

夕方には事件が解決し、後処理をしていたらすっかり、空は暗くなっていた。
ホークアイの許可もおり、ハボックの提案で事件解決にマスタング組で打ち上げをしようとなった。
本当はエドワードと二人でロイの家でゆっくり、夕飯を食べようかと考えていたが今回、部下たちも頑張ってくれたのだから、ご褒美に付き合うことにした。
荷物運びの手伝いをしていた、アルフォンスは資料室に行き、エドワードを呼びに行くと執務室はすっかり、打ち上げの準備を終えていた。
ロイのかけ声で始まった打ち上げは時間が経つにつれ、みんな出来上がっていった。
スっとロイはエドワードの隣に座り、耳元で二人で抜け出そうと言うと、ビックリした表情をするが、すぐに、嬉しそうに返事をするエドワードを見て、今すぐ押し倒したくなったが、理性で押さえた。
みんなに分からないように、こっそり執務室を出た。
夜となると廊下も必要最低限しか灯りは付いておらず、少し不気味だった。


「どこ行くんだ?」


静まり返った廊下は二人分の靴音とエドワードの声が響く。
執務室が暑かったのかエドワードの頬は赤く紅が色付き、色ぽくかった。


「ドライブしに行こうか」

「へっ?ドライブ」


初めて聞く単語みたいに、オウム返しをするエドワードにクスリと笑ってしまった。
軍支給の車が停められてある、駐車場に向かいロイは鍵を出し、先に助手席を開けエドワードを先に座らせた。
照れながらも、おずおずと座るエドワードに静かにドアを閉め、ロイも運転手に座る。


「アンタ、運転して良いのかよ。酒飲んでいるんだろ」

「心配いらないよ。最初から一口も酒は飲んでないよ。何ならキスして確かめるかね?」


顔を近づかせ、エドワードの顔に息がかかる。
恥ずかしくて、声を上げしまったが構わず顔を逸らした。
笑いながら、ロイはエンジンをかけ車を出した。

良く考えると、恋人の関係になってから初めてのドライブだ。
ご飯を食べに行ったり、ロイの家に行くことはあるが、二人だけで車に乗るのだって、ロイの運転する姿だって初めてだ。
運転するロイの姿に見惚れてしまい、見たこともないロイの一面に格好いいなぁっとエドワードは思った。


「あまりアツい視線を送られると照れるな」

「なっ!!バカやろ」

「あぁ、残念だ。きみの照れた顔が見れない」

「見なくていい。前向け、前!!」


声を出して笑うロイに図星をつかれたエドワードは益々、恥ずかしくなり外を見た。
見られない道を走っていることに気づき、どこに行くのだろうと思った。


「…あと、少しで目的地に着くよ」


そう、言うとさらに奥に入り、人気のない場所に着いた。
車から降り、ロイは手を差しだしてた。周りを見渡し、誰もいないと分かると照れながらもエドワードは左手を出し、ゆっくり握った。
坂道になっている道を登ると、目の前に一件の建物があった。
ところ構わず、どこから持ってきたのか鍵を出し、開けるとさらに屋上まで続く階段を登った。
錆び付いた扉を開けると、そこはイーストシティ全体が見渡せる場所だった。


「すげぇー!!綺麗だ」


金色の瞳に映すイーストシティ。
喜んでくれた恋人の姿を見てロイも嬉しくなった。
後ろからエドワードを抱きしめると驚いた表情をしていた。
今日、初めてエドワードを抱きしめたなぁと思った。
夏の終わり頃に入り、日中と違い夜になると少し冷えた。
抱きしめるとお互いの体温が丁度良く気持ちいい。
エドワードも甘えるようにさらに、密着しロイの手の上を合わせ指と指を絡ませた。
少し冷たいロイの手。
冷たくても、心は温かく言葉を交わさなくても居心地がいい。
どれくらい経っただろう。
先に口を開いたのはロイだった。


「ここは軍が管理している建物なんだ。
仕事やちょっと、嫌なことがあると良く一人で来ていたよ」


この場所はロイの秘密の場所と知りエドワードは黙って聞いた。
ロイだって、一人になりたいときがあるのだろう。


「きみにもこの場所を教えたくて今日、来たんだ。ここは私ときみだけの秘密の場所にしないかね」

「えっ?」

顔を上げ、ロイの顔を見ると優しいエドワードしか知らない表情をしていた。
二人だけの秘密の場所。
嬉しくて嬉しくて目元がアツくなり涙が出そうになった。
何度も頷きエドワードはクルリと回ると思い切りロイを抱きしめた。
滅多にないエドワードの行動に驚きながらもロイも優しく抱きしめ返した。


屋上から降りた二人は車に乗った。


「明日は休みなんだ。せっかくだ、そのまま夜のドライブに行かないか?」

「おう!!行こうぜ」


元気良く返す返事にクスリと笑い夜のドライブを開始した。また、あの場所に来ようと約束し、夜の道を走らせた。


「まだ、おかえりのキスをしてなかった。おかえり、エドワード」

「ただいま…ロイ。…んっ」



●END●



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本当に萌えました!
初めてのドライブで二人だけの秘密の場所って素晴らしい…
最後の …んっ が大好きです。
にゃん子さま、本当にありがとうございました!

リゼ