※ムウマージロイ×ピカチュウエド
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長い長い雨が降っていた。俺はその中をひたすら走る。できるだけ早く、早く。体が泥まみれになろうが構わない。急がないと、死んでしまう。
「もってきたよ!」
飛び込んだのは暗い洞窟。冷たい岩にもたれ掛かっているのは熱にうなされて、荒い息を繰り返す一匹のムウマだ。外で雨に打たれていたこいつを俺がこの洞窟に運んだんだ。そしたら『闇の石を持ってきて』と頼まれた。その後は一言も喋らずにこのままだ。だから俺はあちこちを走り回ってやっと見付けたんだ。黒く光る闇の石を。
「ありがとう…」
そっと横に置いてあげる。小さく笑って、そいつは石の上に倒れ込んだ。まさか、遅かった…?う、嘘だ!そんなはずがない。こんなに走ったのに、手遅れなわけ…
「う、うわぁっ!」
息をしていることを願って手を伸ばして触れようとした。そのとたん、いきなりこいつの体が眩しく光り始めた。初めて見る光景に、俺はどうしたらいいのか分からずに岩の後ろに隠れた。小さかったシルエットが、ゆっくりと形を変えていく。そしてしだいにその光は消えていった。そこにいたのは…
「…だ、れ…?」
「…ロイだ」
「ロイ?」
「そう。ムウマージの、ロイ」
ロイと名乗るムウマージ。
「ありがとう。君のお陰で死なずにすんだ」
「あんた…進化したのか?」
頷くロイに、ああ、あれが進化か。と納得し、隠れていた岩の上に飛び乗った。宙に浮く彼にできるだけ近くにいってみたかった。初めて見たムウマージ。俺が助けたムウマージ。ロイ。いったいどんな奴なのか。もっと知りたい。
「君の名は?」
と、その前に俺の事を教えなきゃ。名前を聞かれ、笑顔で答える。
「俺はエド。エドワード」
冷たい雨の降るこの日、俺達は出会った。
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