俺の買物

キングサイズのベットに一人で転がって、本を読んでいた。時間なんか少しも気に止めず、ページをめくっていく。そこまで興味のある内容ではないが、何もすることがないので一応、そのまま。
すると、階段の方から足音がしてきた。それに続いて、コンコン、と扉をノックする音が聞こえる。

「ロイー!飯!」

そう言いながら部屋に入って来た。

「…飯?」

「今日はロイが作る日だろ。早くしろ!」

「………ああ」

思い出した。今日は金曜日だった。まいった、買い出しに行ってないから何もないじゃないか。

「その…コンビニで済ませていいか?」

ベットから降りて、エディと一緒に寝室を出ながら謝った。今日の撮影、結構疲れたんだからな。一日ぐらいコンビニでいいだろう。

「えー。この前ロイがおいしいデミグラスソースのハンバーグ焼いてくれるって言ったじゃん」

「それはまた今度だ。すまないね」

「むー」

拗ねた子供のように頬を膨らませてソファーの上でだるそうにするエディに、もう一度「ゴメン」と言って家を出た。
マンションのすぐ近くにあるサークルケーに向かい歩く。その間、ポケットの中の小銭で遊んでいた。

(たしか、エディはツナが好きだった)

おにぎり売り場の前でそんなことを思い出した。からしマヨネーズが入ってたら食べれないということも続けて思い出す。ツナのおにぎりを一つ取って裏を確認した。よし、からしマヨネーズは入ってない。
エディが好きそうな物を中心に、コンビニでの買い物は終了した。


―――――


「ただいまー…」

玄関を抜けて、靴も揃えずに家へ上がる。外は結構寒くて、早くヒーターの前に行きたかったのもあるが、やはり一番気になるのはエディの機嫌。それを早く窺いたくて、廊下からリビングにつながるドアを開けた。

そこで俺は唖然とした。

寝そべりながらテレビを見ているエディ。そしてテレビに映っている俺。と女。
次に目に入ったのは、エディの横に置いてあるDVDのケース。それはまさに、俺が出ているAVだった。

「な、何見て…っ!」

俺は急いでリモコンを探した。早く、早く切らなくては!耳に入ってくる喘ぎ声と吐息がエディにも聞こえていると思うと、頭の中が軽くパニックになった。でも、どんなに探してもリモコンが見当たらない。仕方なく俺はテレビの方の電源を切った。

「何すんだよー」

「それは俺の台詞だ!第一なんでこのビデオを持ってる」

「この前ツタヤでかりた。18禁だったけど、まあ一歳ぐらいはごまかせると思って」

馬鹿か君は!これは嫌がらせだ。ハンバーグ一つでこんなにしなくてもいいだろう。とにかく。このビデオは没収だ。DVDデッキからDVDを取り出し、ケースにしまう。ああ、タイトルも見たくない。この撮影の相手は最悪だったんだ。無駄に触ってくるばっかりする女だった。

「んだよ。今日誰が運転してあげたと思ってんの?しかも約束破ってコンビニなんて…ハンバーグが良いのに。つーかこのDVD、俺が自分の金で借りたの。自分の体で稼いだお金で。あんたに取られる筋合いなんて一つもないんだけど」

あーあ。完全に拗ねてるねエディ。さてどうしようか。このままだと多分明日の仕事には歩いて行かないといけなくなりそうだ。土曜日休みのエディが先に車で出てどっか行きそうだもんな。うーん…しかたない。

「…音量は0だぞ」

ため息混じりの声でDVDをエディに返す。とたんに笑顔になったエディは中身を取り出して、セットして、テレビの電源を入れた。そしてエディは自分の腹の下からリモコンを出したではないか。こいつ…

「音量0ねー…うーん。やっぱイヤホンしよ」

な、それでは変わらないじゃないか!駄目だ駄目だ。とにかく声は駄目だ。自分でもなぜかは分からないが声は聞かれたくないんだ。

「イヤホンも駄目」

「あ、ちょ、取んなよ。いーじゃんか、あんたには聞こえないんだし。それとも何?人が聞けないような声出してんの?」

「失礼なっ。もういい、好きにしろ」

負けた。イヤホンまでもがエドの手に帰ってしまった。テレビ画面を見ると制服を着た女とキスをする俺の姿。あーもう!どうにでもなってしまえ!

「おにぎりとお茶と、おかずの弁当」

「ん、ありがと」

缶コーヒーと昆布のおにぎりだけを取り出して、後は袋ごとエドの横に落とした。がさがさと袋をあさり、ツナを見つけると、テレビから目を逸らさずに上から大きな口で食いつく。嗚呼、あのイヤホンをぶっちぎってしまいたい。いや、DVDをひん曲げたい。とにかく、リビングにはいたくない。俺はベットに帰りたくなった。

「エディ、先に寝室行っとくよ」

「んー…あ、寝んなよ」

「はいはい」

そうだね。今日はお前とセックスする約束だったもんな。色気を出す練習するんだよな。分かってるよ。もう約束は破らない。だからもうこんな恥ずかしい仕置きはやめてくれ。

「終わったらちゃんと消すんだよ」

「わかったわかった」

まだ画面にくぎづけのエディ。こうなったら、俺だってお前の写真を見てやろうじゃないか。カメラに向かってエッチなポーズを決めている姿を、まじまじと見てやる。俺はそう決めて、リビングを出た。



――――――

とうとう書いてしまった第三弾(^p^)
エディが見ているAVはもちろん学園物。そしてエディの悪戯はまだまだ続きます。
この後のベットの上で、エディはロイの事を「先生」とよんで、AVの内容と同じような事をやってきます。

にしてもロイ大人げないな笑。

リゼ