「あー首が痛い」
俺は車の中で大きく息を付いた。車には俺と運転手の2人しかいない。
「仕方ないだろう。この仕事は結構体を張る」
運転手はハンドルを右にきりながら答えた。その答えにちょっとむかついた俺は、体を前に乗り出して、運転手の肩に手を置く。
「あんたは動いてるからいいだろうけど俺はずっとベットの上であのポーズだぞ?しかも裸で!首は痛いし腹は冷えるしでもううんざりだ!」
「運転中なんだ。大人しく座ってなさい」
少し怒りっぽい声で注意され、俺は仕方なく大人しく座った。いつもと違う声が気になってこっそりバックミラーを覗いてみると、そこにはどこか不機嫌な顔が。こりゃあ、何かあるな。
「ねぇ、次ってロイの撮影現場だよな」
「ああ」
「…今日は何の役?」
車内に沈黙が訪れた。信号にひっかかって、青になるのを待っている内に、ロイが口を開く。
「ホスト」
「え、まだいいじゃん。じゃあ相手役は、誰?」
少し荒々しくアクセルを踏まれ車は前へ発進した。次のスタジオまで、あと3分ぐらい。
「"――――"」
「…え……」
俺はロイがすごく可愛そうだと思った。
相手役はロイの元カノのあの女。
――――――
AV男優×グラビア女優。
一応二人は付き合ってない設定。
撮影後、ロイが疲れて運転できない時はエドがマンションまで運びます。
二人が同居中だと尚更いい。