似つかわしい"厄"まわり






「せつぶん?」


そう言って訝しげな視線を向ける彼。

でも私はそれを無視して手を動かした。


「そう、節分」

「なんだその節分って」

「節分は日本の伝統行事よ。その年の幸福を願って厄を払うの」

「へー…」

「って、こら!」


ハレルヤは興味なさそうな声を出す。

そしてこっそりと手を鍋の豆に伸ばした。

私は慌ててその手を叩く。

ぱしりと良い音がキッチンに響いた。


「いってえなルシア!」

「何よ火傷したいの?」


金色の瞳を鋭く光らせてこっちを見る。

でも私は負けじと睨み返した。

鍋の中の豆は思ってる以上に熱い。

迂闊に手を出したら痛い目を見る。

ハレルヤは仕方なく諦めた。



「でも何でわざわざ豆を煎るんだよ?」



今度は肘を付いて鍋を覗き込む。

そんなに豆が早く食べたいか。

でもハレルヤらしい考え方である。

思わず苦笑してしまった。


「豆ってこのままだと芽が生えるのよ」

「俺とルシアで食うから問題ねえだろ」

「でももし取り残したら根付いちゃう」

「…あぁ、つまりは厄が根付く!」

「ご明答」


今日のハレルヤは妙に冴えてるらしい。

ご褒美に頭を撫でたら嫌がられた。

顔を背けてるけど、耳が赤くなってる。

彼なりの照れ隠しは随分可愛かった。


「さてと、そろそろ良いかな」


しっかりと確認して火を止める。

用意しておいた皿に移した。


「食って良いのか?!」

「んふふ、それよりもまずは…」


嬉しそうに伸びた手から皿を奪う。

待ち兼ねていたハレルヤは不満そうだ。

でもやっぱりここはちゃんとしなくちゃ。

私は皿の中の豆を一掴みする。

そしてしっかりと狙いを定めて、



「鬼は外ー!」



ハレルヤに投げ付けた。


似つかわしい"厄"まわり
(私には鬼じゃない、けどそっくりな貴方)


「いてっ、いてえだろうがルシア!」

「まだまだぁ!」

「ちょっ、止めやがれちくしょう!」


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ついにやっちゃったハレルヤ夢。
ハレルヤ大好きなのに、
私が書くと甘くならないのは何故?
でもやっぱり鬼はハレルヤだと思う。
だってそっくりだし色々と←
あ、でも仕返しが怖いから無理か…。

(2009/2/3)



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