愛を指折り数えて






走る、走る。

愛しいあなたの元へ…。




「刹那!」




視界に入ったその背中に呼び掛ける。

そうすれば彼はゆっくりと振り返った。

足を留めた刹那に駆け寄る。



「そんなに走って、何か急用か?」

「うん、そう…っ」



軽く息を整えながら、大きく頷いた。

そう、私にとっては急用なの。



「ちょっと待ってね。5、4、3、2…」



ちらりと端末で確認してカウントダウン。



「…1、0。刹那!」

「な、なんだ?」



ばっと顔を上げれば困惑した刹那の顔。

でもそんな細かい事は気にせずに、

自分の中でも最高の笑顔を見せてみせた。




(私はずっと、この日を待ってたの…)


「誕生日おめでとう!」

「…まさか、それだけのために?」

「わ、悪い?!」

「いや、そういう訳じゃ…」



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リゼ