ある日の海。






無人島に待機中、ロックオンが

散歩に行くと言うから私も付いてきた。

降り注ぐ光に海はキラキラと輝いて、

歩くたびに砂がさくさくと音を立てた。


目の前には大好きな貴方がいる。


「なぁ…」

「んー、なに?」


ふと足を止めて、彼が振り返った。

私はそんなことはお構いなしに

履いてたサンダルを手に足を海に浸す。

寄せては返す波が気持ちいい。


「なんで後ろしか歩かねぇの?」

「へ…?」

「隣、手を繋ぎたいとかさ」

「あー、そうだねぇ…」


着ているワンピースの裾を持って、

更に海へと入っていく。


「お、おい。危ないぞ」

「あはは、大丈夫だって」


そうか?と言って黙り込む彼。

お互いに一言も発しないで沈黙する。

別に気まずくはない、沈黙。

そうしてしばらく海と戯れていた。




「ねぇ、ロックオン」

「なんだ?」




海から上がって、再び砂浜へ。

ロックオンは、足が汚れるから

背中に乗れって言ったけど断った。

不思議そうな顔をするロックオンを

ちらりと見る。


「わたし、ロックオンの背中が好き」

「え、なんだよ急に」

「だから別に後ろで良い」


彼は一瞬だけ驚いた顔をして、

でもすぐに優しく微笑んだ。



「そろそろ戻るぞ」

「うん、今日のお昼なにかな?」

「アレルヤがパスタって言ってたぞ」

「え、ほんとに?」

「あぁ、だから早く戻るぞ」



そう言って歩き出すロックオン。

もちろん私は彼の後ろ。

大好きな貴方の背中を見ながら…。




ある日の海。
(そういやなんで背中が好きなわけ?)
(えー、それはね…)
(なになに?)
(……やっぱ教えない)
(なんだよそれ?!教えろよ)




だって、だって、それはね…


*見切り発射のオチも何も無いです。


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