トリコロールを抱く

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よぉ、久し振りじゃねえか。

しばらく見ない間にすっかり変わったな。

初めてここに来た時は、この辺りにはまだミシェル以外に誰も居なかった。


聞いてくれよ。

俺はどうやら昇進するらしい。

つい昨日、異動辞令を渡された時にだ。

上司から昇進の話をされた。

俺の実力に、上層部も期待してるんだぜ。


あ？

どうせ俺の勘違いだろって？


そんな事言うんじゃねえよ。

何なら賭けてやっても良いんだ。

ミシェルが勝ったら、大好きなミルフィーユを奢ってやる。

でももし、もしだぞ？

俺が賭けに勝ったら、その時は一日俺に付き合ってくれ。

連れて行きたい場所がたくさんあるんだ。

一緒にパリの街中を歩こうぜ。

あの凱旋門の下を潜って、シャンゼリゼ通りを過ぎる。

もうすぐクリスマスだからきっと綺麗だ。

そうだ、エッフェル塔もあった。

悪い悪い、忘れてたわけじゃねえよ。

それから、それから…。

駄目だいっぱいありすぎて言えねえ。


あぁ、そうだ。

今日は花束を持って来た。

来る途中に花屋でたまたま見かけたヤツ。

名前は無いらしい。

でも真っ白で綺麗に咲いてやがる。

きっとミシェルには、よく似合うさ。

だからこれはミシェルにやるよ。

大事にしねえと会った時に怒るからな。

名前…名前を付けなくちゃ。

そうだな、



La fleur de l'ange
(きっと君にも届くだろう…)


"天使の花"なんてのはどうだ？

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