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女の子がクロと出会ったのは小雨の降る肌寒い日。
黒と白の小さな仔猫。
だから名前はクロ。
公園の隅で段ボール箱に入れられてミャーミャーと啼いていたクロ。

お母さん達には秘密にして自分ひとりで飼おうと、家の裏に隠しました。
でも、やっぱり見つかっちゃった。

お母さんはちょっと怒ったけど、元気のないクロの様子を見て 病院に連れていってくれました。
栄養失調でけいれんまで起こしたクロ。
3日間病院で優しく手当をしてもらい、クロは元気になって女の子のもとへ戻って来ました。

「やっぱりお家では飼えないから誰かにもらってもらおうね」
女の子の住んでる所は動物を飼ってはいけない規則。
悲しくて涙がこぼれてきます。
でも仕方ありません。
「うん」
女の子は下を向いて小さな声で答えました。

もらってくれる人が見つかるまでクロはお家の中で元気良く走り回っていました。
「だたいま、クロ」
女の子は学校から帰るとまっ先にクロを抱っこします。
腕の中で静かに女の子を見つめるクロ。
お昼寝も一緒にしました。
食べ物はミルクで溶かした仔猫用のキャットフード。
あげるとかわいい舌でぺろぺろなめます。
とてもかわいいクロ。
すぐにお別れだけど、女の子は一生懸命かわいがりました。

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