日も暮れた頃。
いつもなら仲間達と歩く帰り道を、今日は一人で歩く。
『悪ィトシ!今日はお妙さんが習い事の日だから護衛をしなければならないんだ!』
『少し寄る店があるんで別の道で帰りまさァ』
ふと奴等が言っていた言葉を思い出す。
近藤さんは殆ど毎日こんな感じだから、普段沖田と二人で帰ってるようなもんなんだが…。
後はたまにボロボロになった近藤さんが現われる位だ。
「近藤さんも懲りねェな…」
呟いた後、土手に差し掛かった所で、俺は歩くスピードを一気に遅くした。
なぜかって?
今日は《あの日》だからだ。
「(来ねー…。)」
携帯をみて曜日を確認する。
確かに今日は金曜日だ。
アイツが俺と同じ時間に、同じ道を使って帰宅する日。
なのに来ない。
今日は来ない。
毎週来るのに。
「(あー…もうすぐ着いちまうじゃねェか…)」
見つめる先には、分かれ道。
もう少し
あとちょっと
もう着くかも
「あ……」
思わず握り締めた携帯を落としそうになった。
分岐点には
君がいた
(何待たせてんだよ俺…。)
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