ユキムラの楽園 [→side:R→]




俺は…
生涯彼を愛する事は無いだろう…
しかし彼という存在は、俺にとって特別な意味を孕むだろう
何故なら…
生まれてくる業の名は、遠い昔にもう、決めてあるのだから……


――そして...幾度目かの楽園の扉が開かれる……


テニスコートに
テニスラケットで
描かれた軌跡
球の道標
古びたラケット
握り締めたまま
這い擦りながらも
男は笑った
(フハハハハ!)

廻るように
浮かんでくる
愛しい笑顔
すぐ其処に
限界の果てに
手を伸ばす様に
扉に手を掛けた


――そして...彼の現実は朽ち果てる……


少年が小さく
咳をする度
胸の痛みが
勝利(カチ)を遠ざける
襤褸い毛布でも
夢は見られる
君を知った日の
S心忘れない

眠るように
沈んでゆく
愛しい試合
水底に
夢幻の果てが
手を招く様に
扉は開かれた


――そして...彼の現実は砕け散る……


ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
どんな業が咲くの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
どんな選手が歌うの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
体はもう開放的なの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
ずっと支配者でいられるの?


…ねぇサナダ?


窓を叩く夜風
弾む吐息
薄暗い部屋
楽しそう?な談笑

虚ろな月明り
白い吐息
薄汚い部屋
企み顔の少年

幾度となく繰り返される問いかけ
尽きることのない『楽園』への興味
嗚呼…少年にはもう見えていないのだ
傍らにうずくまるその巨体が…



「ねぇサナダ」
「なっ…なんだ、ユキムラ」
「明日は何の日か知ってる?」
「世界で一番可愛…強い男の子の誕生日」
「フフフフフ…俺ね、誕生日プレゼントは藁人形がいいと思うな…ブッ殺すよ真田
「煤I!」


男の夢想は残酷な現実となり
少年の現実は幽幻な夢想となる
男の楽園は永遠の奈落となり
少年の奈落は束の間の楽園となる

...お父様――その楽園では
どんな術が咲くの?
ねぇ...お父様
その楽園では
どんな呪いを歌うの?
...お父様――
その楽園では
心はもう開放的なの?
ねぇ...お父様
その楽園では
ずっと支配者でいられるの?

ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
どんな業が咲くの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
どんな選手が歌うの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
体はもう開放的なの?
ねぇ...お父様(サナダ)
その楽園では
ずっと支配者でいられるの?


…ねぇサナダ?








(3/5、幸村おめでとう!)






[つるの剛士|イラスト|瀬戸内]
リゼ