7/それぞれの気持ち





「俺は柳蓮二だ」
「俺は仁王雅治」
「切原赤也ッス」
「俺はジャッカル桑原だ、よろしくな」
「ど…どうもっ!柳坂美紀です…!!」

凄い、目の前に立海Rが勢揃い…!!!

みんなが思い思いに輪になって座る。個性豊かな彼等の座り方は様々で、なんだか面白い。
だって柳生なんかレジャーシートみたいの敷いて体育座りだよ?
ブンちゃんなんてだんだん輪の中にのめり込んできてる… 目が血走ってるところを見る限り、絶対みんなの弁当狙ってる…。

あれ、でもお父さんがいない?


「真田くんは部長代理として部活動の会議に参加しています。」

私の心を読んだかのようにやぎゅが話す
そっか、まだ幸村は…


「で、私達がここに集められたのはどういった用件でしょうか?」
「え?いつも集まってご飯食べてるんじゃないの?」
「んなわけないじゃーん、俺が集めたのっ」

今まで黙っていた千鴇君がいきなり口を開く。
毎日集まってるんじゃないんだ…!!と少しショックを受けていると、千鴇君が食っていいぜ、と私にお弁当を差し出した。
私はありがとう、と言ってお弁当を受け取り、早速お弁当を食べ始めた。
朝ごはん抜きからようやくのご飯…嬉しい!!しかもめちゃくちゃ美味しそう…!!


「さっき真田に話して、もう了解を得てる。」


あ、このハンバーグ美味しい!卵焼きもなかなかいいなあ〜。これなら毎日の食事には困らなそう!!

「柳坂美紀には、立海男子テニス部のマネージャーをやってもらう」

料理が上手いっていいなあ。いやね、私も料理は上手くなりたいんだけど…………ん?

「む?」

ウインナーを頬張りながら頭上の千鴇君を見上げようとしたら、周りに座ってるみんなが驚いた顔でこっちをみている。

「ぬあ、んっ…な、なんでふか??」

急いで口の中にある残り少ないウインナーだったものを飲み込み、千鴇くんを見る。


「また話聞いて無かったのかよ、だから…」
「待てよ!マネージャーならもういるじゃねぇか!」

ブンちゃんがくわえかけたパンをバッと振って立ち上がる。
え?マネージャー?

「でも1人より2人だろ?」
「お前だけでもマネージャーは十分な筈だ。それに…」
「う〜ん、それがなぁ〜。ダメ?」

また出た。
確か真田はこれで完全にオチてた。
って、あれ…

「あんたマネージャーなの!?」
「あれ?言ってなかったっけ?」

そう言って、またへらへらと笑い出す。
だからテニス部とやけに絡んでるのか!

ん?って事は、話の流れ的に…

え(^ω^)?


「それで…みんな、どうかな?」

























「俺はいいと思うぜよ、なんか面白そうじゃき」

屋上は、その一言が出てくるまで、ご飯を食べる音だけが響く空間だった。
目の前にいる彼らは前から知った顔だとしても、初対面である事に変わりはない。とてつもない緊張が私を襲っていた。


長い沈黙を破ったのは丁度斜向かいに座っていた仁王だった。
ハッと顔を上げた瞬間バチリと目が合い、彼はニヤリと笑う。
救われた…。そう思った。
私はその意見が本当のものなのか少し疑いながらも、賛成してくれる人がいた事に心から安堵する。

「まあ、仁王君が良いと言うなら私も、仕方ありませんね。」
「テニス部の新しいデータがとれるかもしれないしな」
「俺もいいぜ、一人より二人の方が、千鴇も楽だろ?」

彼の周りに座っていた柳生、柳、ジャッカルも続いて微笑み、こちらを見て頷く。
次々と賛成票が入っていく状況に私はどんどん安心し、強張った顔も緩まっていく。



「赤也とブン太は?どう?」
「え?ああ…」
「んまぁ…先輩達が言うなら、いいんじゃないっすか…」


最後までずっと黙っていた二人は、明らかに不満そうな顔をして、千鴇君を見ていた。
ここに来てから、私とは一度も顔を合わせていない。
それはグループに新しいものが入ってくる事への完全なる拒絶だった。


「え、いや…それ良くないでしょ…」


私は思わず口を開いて、そう呟いていた。

「いや、でも俺は美紀に…」

「そ、そもそも私がやらなくても千鴇くんがいれば十分だと思う!!みんなだって、きっとそう思ってるよ…!!」


少し悲しくなって俯いて、

そのまま唇を噛みしてて、

みんなの顔がみたくなくて、

私は立ち上がって屋上のドアに走った。



終わった…
さよならあたしのエンジョイライフ…
いやでも嫌われも結構楽しいかmドンッ

「いてっ!!」
「なにを騒いでいる」
「…真田副部長!」
「すまんな、思ったより会議が長引いた。どうした柳坂」
「いやあそのー…あはははは」
「真田ナイスタイミング!ハイ美紀捕まえたー」
「なっ!ちょ、放せいっ」

私の目の前にいる真田に、私の後ろから千鴇くんが抱き着く。
なにこのサンドイッチ状態!!これしきの事でわたくしの心が揺れ動くとお思いで!?……ごめんなさいめっちゃドキドキしてる。ごめんみんな。ごめん。

「…柳坂が嫌がっているだろう」
「まあまあ。ほら美紀こっちおいで?」
「ちょ……嫌だ…!」



初日から一日が長くなりそうだ。












リゼ