6/不揃いな役者達





その後の体育では勿論見学し、やっぱり体育の先生だった担任に「大丈夫か?最初だから仕方ないよははははは」なんて言われたり、授業中も隣や隣や隣や隣に邪魔されたり、せんとくん(マスコットの方)の顔の残像に吹いて怒られたり…


キーンコーンカーンコーン

4時間目の授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

やっと昼だー!!ご飯だー!!
なんか凄く長かったよー!!

「よーし、飯食いに行くぞ美紀」
「うん!!え?行くって、教室で食べないの?」
「当然だろ!飯はこの中に全部入ってっから、別々で食べるのも無しだぜ!」

せんとくん特製お弁当は1つの容器に2人前入ってるらしくって、一緒に食べるのは強制らしい…

「お前なんのためにココ来たと思ってんだ」
「え?」
「テニプリキャラと話さなきゃ意味ねーだろ(コソッ」

彼は私の耳元でそう囁くと、(またちょっと、周りの視線が痛い気がした…。)
ホラこっち!と教室から飛び出していく。

「はっ?ちょっと待って!」

迷子になってお昼抜きなんて冗談じゃない!
私は必死に千鴇君を追いかけた。












「あ゙ー疲れた」
「はは、お疲れ」

恐らくここが屋上への扉であろう、という場所の前まで来た。
身体能力が高過ぎる千鴇君を追いかけるのは必死で、多分彼は小走り程度だったであろうが、私は全力疾走だった。

後ろから、廊下は走るんじゃない!!キェーー!!という声が聞こえたような気がしないでもないが、お昼ご飯がかかった追いかけっこに負けるわけにはいかなかった。


「今日なんか運動してばっかなんだけど…もう無理…」
「確かに!朝から沢山動いたもんな、すまんすまん」
「っていう割には涼しい顔して…アンタ何者よ…」
「ん?俺はね……


君と同じ世界からここに来た人間だよ」


屋上への扉に手をかけ、半分開いたところで千鴇君は振り返る。
新しい季節の風と眩い光が向こう側から差してきて、彼の綺麗な髪の毛が揺れる。

そうか、彼は、同じ世界の…



「あ、そう」
「ええっ!?もうちょっと驚いてよ!!」
「ええ!?あんなに自分から匂わせといて!?」
「うっ…でもホラ、俺銀髪だし3階から飛び降りたよ!?」
「それはー…こっちに来る前に設定したとか?」
「なんで分かったの…?」
「そうなの!?」

千鴇君は私の超マグレな予想通り、髪色や体力、更に住む場所や部活、学校での人気度等も設定したらしい。変なアンケートメールがきて、それに沿って答えてたらいつの間にかここに来てたんだって。
うわなんかずるいそれ…!!私もそれしたかった…!!

「私の世界での千鴇君をみてみたい…」
「おっ!ようやく名前呼んでくれたなー!悪ィ、俺、現世でも実は超イケメンなのよ。ちなみに名前も千鴇じゃないから」
「はぁ…顔は今でも…だけど、だからそんな変な名前なんだ」
「うわっひっでぇっー」

へらへらと笑いながら、貯水タンクに腰掛けて、弁当を広げる千鴇君の横に座る。
違う世界に来ても、空は変わらず水色で、雲はそよそよ流れてる。春風が吹くと、冷たいコンクリートに触れていた肌がささやかな温もりを得る。
それはここに来て初めてのゆっくりとした時間だった…………んだけど



「すみません、仁王君を捜していたら遅れてしまいました」
「もう少し寝かせてくれたっていいじゃろ…相変わらず鬼じゃのう柳生」
「悪ィ待たせたな!ジャッカルが買うの遅くてよ」
「おい待てよブン太!」
「ちぃっす先輩!!」

なんか…うじゃうじゃ来た!!!!!











リゼ