無恋う見ず






「…なんでだよ」

さっきから何回も発せられる言葉。俯いた貴方になにをしてあげたらいいのかわからず、ただその黒い髪を見つめていた。どれくらいの時が経ったか分からない。ただ頭上に響く秒針の音が時間の経過を俺に伝える。


「畜生…」


顔に両手をあてて苦しそうに息を漏らす。嗚呼、貴方にはそんなに辛いのか


俺の言葉は







なんで貴方を好きになってしまったんだろう




俺は、男で、しかもお前の上司だぞ?


その言葉に胸がズキリと痛む







(好きだと貴方に囁いた幾時か前の俺をぶっ飛ばしたくなった)







リゼ