堅物ハニー




ぐー。

「あ、悪ィ悪ィ。鳴っちまった」
「……。」
「なんだよ。」

相変わらずぶっきらぼうな顔してんなーコイツ

「凄ぇ音。」
「だな。」



「そんなに腹減ってんのか?」

「べっつにぃー。むしろ柊一くんの方が空いてんじゃないの?痩せ我慢はよくないぜ?」
ちょっとイタズラ



「…俺がなにも喰わずにここに来たと思ってんのか。どうせ奢ってもらおうとしたんだろ」
「あ、バレた?」

「バレた?じゃねェよ。」


「いーじゃねーか、奢ってくれよ。」
「ったく…いつもこうじゃんか…。」

言って、柊一はムスッとした顔で少し俯く


あ、可愛い。

「柊一」
「何言っても奢んねェぞ。大体今日は…」


「これ奢って」

俺の指の示す先を、柊一は直ぐに理解しただろう
何故かって
そらぁ彼自身に向けられたもんだからだよ




「……ッ」

一瞬ためらって



「こんなもんでいいなら…いくらでもくれてやる…」
そう言う彼の赤く染まった顔をみて
俺はもう我慢することが出来ないわけであって


お堅い彼の眉間に皺が寄った顔を崩す方法。




END


(奢るというより、捧げてやる…。)
(嬉しい事言ってくれんじゃないの。)
(つーか空腹はどうした)
(だからこれからお前で空腹を満たすんだよ)
(…黙れ変態。)






リゼ