7.異 同



「盗み聞きなんてよくないぜ…んまぁ、それが特技か」

障子をガバッと開ければ、そこには懐かしい香りがした
綿火、鐵…

「相変わらず好戦的だな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」

隊長の部屋で話すのもなんだと思い、俺達は人気の少ない裏庭に向かった。





「一部始終は聞かせて貰った」
「あー」
「今はここで勘定方をしている。もう倒幕だの改革だの騒いでいる奴等とは違う」
「そー」
「…やっぱりホモ…」
「なっ、違ぇよ」

鐵の顔をジッと見つめていたら、また勘違いをされそうになった。
昔と随分変わったな、と言おうとしたが、その途端にあまり思い出したくない過去も思い出してしまった。

毎日が血のニオイに塗れて
逃避を選んでコイツの暖かさに逃げ込んだなんて

本当に随分昔の話だ


「ねぇ」
「、んだよ」
「平気なの?口止めしないで」
「必要か?」
「仮にも俺は柊の敵だけど」
「仲間以前に?」
「そんなの、昔の話」
本当に。

たった数年が、何十年もの時を経たかのような感覚だった。

「じゃ、どーすればその堅いお口を更に堅くして下さいますかね?」
「簡単だ



今すぐ脱隊しろ」


「…てっちゃん悪いけど流石にそれは無理だな」
「じゃあ早速局長に…」
「あー待て待て!」
「…答えは明日の深夜まで待ってやる」
「んな事言ったって…」

この時、俺の中にある昔の記憶の破片がコロリと転がり落ちて、現実のピースにぴたりとハマった。
まるでジグソーパズルのように。

「俺は昔の事は、絶対に忘れん」
「…ああ」




―ストン

礼儀正しく静かに閉められた障子を見つめ

俺は幸運に笑みを浮かべた








「…なに」

「俺…もうこんなの…」

「ならやめてしまえ」

「…それは…」

「早速晋助達に…」

「やっ…やめろ鐵…!晋助には言うな、みんなにも言うな!絶対…」

「…答えは明日の深夜まで待ってやる。…あの岬で。」

「鐵…!」







明日、あの岬で。





7-END


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リゼ