士載さんと士季さん
エイプリルフール話です。
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鍾「皆やけに浮かれていると思えば・・・今日はエイプリールフールですか・・・。嘘をついてだましあうなんてくだらないことに時間を使う暇があれば、少し学にでも励めばいいのに」
昭「そっか?お前も、今日くらいハメはずせばいいじゃないか」
鍾「お断りですね。そんなことをする意味が分かりません」
昭「いつもは言われてる相手を軽くだますと気分いいぜ」
鍾「・・・そんなものですか?」
昭「ってことで、俺も今日元姫をどうやってだましてやろうかって考えてるんだよな。あいつ、ちょっとのことじゃだまされないだろうから・・・」
鍾「・・・・・・いつも言われてる相手をだます、ね」
昭「え・・・聞いてない・・・?」
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鍾「トウ艾殿」
艾「これは、鍾会殿。なにかご用ですか?」
鍾「ええ。この機会に、あなたに言いたいことがありまして」
艾「なんでしょう?」
鍾「実はですね、私は・・・あなたのことが好きで仕方ないんです」
艾「・・・・・」
鍾「あなたのことを考えると、なにも手につかなくなるほどに。・・・失礼とは承知しながら、気持ちを抑えることが出来ずにこうして告白させていただきました」
艾「そう・・でしたか・・・」
鍾「(ふん、深刻な顔だな。こんな嘘にひっかかるなんて、これだから旧式の人間は・・・)」
艾「・・・申し訳ありません(鍾会の手をぎゅっと握る)」
鍾「ふぇっ!?」
艾「あなたのお気持ちはとてもうれしい・・・。ですが、私は家族のある身。家で待つ妻のことは裏切れないのです。なので・・・恐縮ですが、あなたの想いにはお応えできない」
鍾「あ、あ、あの・・・」
艾「あなたのご好意、とてもうれしく思います。願わくばこのまま、よき同輩としてお付き合いいただければ幸いです」
鍾「え、え、あ・・・(手、手・・・そんなに強く握るなっ・・・)」
艾「では・・・失礼いたします。温かくなったとはいえ、夜は冷えます。お体にはお気をつけて」
鍾「わ、わかりましたよ・・・・」
(トウ艾、去る)
鍾「・・・う、嘘だとバラせなかったじゃないか・・・!!!こ、これだからあいつは嫌いなんだ・・・!それに・・・私の誘いを断るだなんて、よくもそんなことを・・・」
・・・って、これじゃあ本当に私がトウ艾殿に気があるみたいじゃないか!!!!!
そんな馬鹿げたこと、あるわけがないというのに・・・!
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