団長さんと首席さん VS盗賊編
今日は二人で馬に乗って地方へ査察に行かれるようです





ア「シュヴァーン、体は大丈夫か?」

シ「はい、俺は平気です。大将こそ疲れませんか?」

ア「私は問題ない。(下半身的な意味で)鍛えているからな」

シ「さすが大将…!俺ももっと頑張らないといけないな…」

ア「む……待て、シュヴァーン」

シ「どうかしたんですか?」

ア「この街道は…確か、大盗賊団が出没し始めたと報告を受けていた場所だ」

シ「ええ!?そうなんですか!俺、なにも聞いてませんでしたけど…」

ア「貴族や騎士団はあまり使わない道だからな。奴らは、やむをえない理由で結界から出てきた市民やギルド員など、少人数ばかりを狙って略奪を働くらしい」

シ「…そんな奴らが」

ア「近々、討伐のために隊が組まれる予定なのだが…。編成が難航していて、未だ放置されている状態だ」

シ「・・・これも帝国の弊害、ですか」

ア「ああ・・・私がふがいないばかりに、な」

シ「た、大将のせいではないです!!・・あ、そうだ、この際俺達でそいつらを退治してしまえばいいのではないですか?そうすれば・・・」

ア「いや、奴らは大所帯だ。こちらはいくら私と君とはいえ二人だけということを考えると、それは得策ではない。今後の仕事に支障をきたしてはいけないだろう」

シ「…ですか。(しょぼーん)」

ア「そこで、だ」

シ「?」

ア「私は考えた。盗賊に襲われないためにはどうすればいいかと」

シ「ど、どうするんですか、大将!」

ア「それはな…」

シ「それは…?」

ア「襲われて身ぐるみを剥がされる前に、こちらから服を全て脱いでおけばいいのだ。そうすれば何も取られる心配はない!」

シ「なるほどー!………え、えええーーっ」

ア「なにを驚いている」

シ「驚きますよ!一体何を考えてるんですか!?」

ア「今は大金を持ちあわせていないから、盗られて一番困るものは服だろう?(ガシャガシャ)」

シ「ちょ、脱ぎ始めないでください、こんな道のド真ん中で!ていうか大将、ただ単に脱ぎたいだけなんじゃないですか!?」

ア「失礼な。これは立派な盗賊対策だ。さあ、君も脱ぎたまえ」

シ「い・・・・、嫌ですっ!!」(馬を全速力で走らせる)

ア「む、待ちなさいシュヴァーン!」





シ「どうしよう…動揺して思わず飛び出してきてしまったが…。やはり、大将のところに戻らなきゃ…だよな。」

盗賊「・・・兄ちゃん、騎士だな?」

シ「!?」

盗「めずらしいな、騎士がこんなところに、しかも一人で来るとは」

シ「…お前たちが盗賊か」

盗「お。俺達そんなに有名なのか?」

盗「騎士サマに知られてるとは、俺達も出世したなあ」

盗「で、俺たちのこと知ってるならわかってんだろ?あるだけの荷物と、その上等な鎧一式置いていけや」

シ「…痴れ言を。誰がそのような要求に応じるものか」

頭「・・・出ろ!」

(50人ほどの集団が現れる)

シ「なるほど、ここまでの人数とは。伊達に脅威になっていないということか・・・」

頭「やっちまえ、いざとなりゃ殺してもかまわねえ!」

盗「おう!」

シ「くっ・・・!事は荒立てたくなかったが、やはりこうなるか。仕方が無い。」

盗「うわっ」

盗「ちっ、さすがに騎士は強えな・・・」

シ「・・・力の差はあきらかだが・・数が多いな」

盗「うおおおおおっ!」

シ「・・・だが、ここまでだ。・・・散れっ!!」(旋風が巻き起こる)

盗「ぐああああっっ」

シ「はあ・・・はあ・・・。なんとかなっ・・・(後方から飛んできた石が後頭部に)」

シ「ぐあっ!?(地面に倒れる)」

盗「ったく・・てこずらせやがって」

シ「くっ…!(う、後ろにいたのか…)」

頭「出てきたやつらで全部だって言った覚えはないぜ?」

盗「お頭、こいつどうします?」

頭「とりあえず身包み全部はいじまえ。騎士の上等な鎧は高く売れるぜ」

盗「へい」

シ「さ、触るな・・・!」

盗「おとなしくしろよ」

シ「!ひ、あっ・・・・」

盗「ん?なんだこいつ、体触っただけで変な声出しやがって」

盗「・・・もしかして、そういうケでもあるのか?」

シ「!?」

盗「そういえば聞いたことあるな、騎士団の中で男色が流行ってるとか」

盗「げ、マジかよ」

盗「しかも、相当なお偉いさんがそういう関係らしいぜ」

盗「さすが帝国、ワケわかんねえな」

シ「///////」

盗「・・・なあ、俺たちも、ちょっと試してみないか?」

盗「は?お前、そういうシュミあったのかよ?」

盗「いや・・なんか、こいつ見てたらどうにも我慢できなくなっちまってよ」

盗「確かに・・なんかエロいな」

盗「実は俺、最近金なくて店行って無くてよ。溜まりまくってんだよな」

盗「・・・よし、ヤっちまうか」

シ「!?? やっ、手を、はなせ・・!」

盗「おとなしくしてろよ」

盗「そうそう、命まではとらねえでやるからさ」

シ「嫌だ、嫌だ、こんなやつらに・・・!! ・・・たい、しょ…!」

(ドドドドド)

盗「なんの音だ・・・?」

盗「!?」

盗「お、お頭、あれ…!」

頭「ん?」

ア「シュヴァーーーーーーンっ!!!!」

シ「た、大将!!」

頭「わ、わあー!どや顔だ!!どや顔が全裸でこっちに来るー!」

ア「貴様ら…その汚い手でよくもシュヴァーンを…」

盗「ひ、ひぃ…っ」

ア「討伐隊が組まれるまでは放置してやろうと思っていたが…貴様らは私の触れてはならぬところに触れたようだ。」

盗「わ、わあああっ!」

ア「まいたけ、政権ーーっ!!」



ア「…もう大丈夫だ、シュヴァーン」

シ「た、大将……!(ぎゅっ)」

ア「すまなかったな、君を怖い目にあわせてしまった」

シ「いえ・・・俺のつめが甘かったせいですから。それに、勝手に飛び出した俺が悪いんです・・・申し訳ありませんでした」

ア「(目を細めて笑う)・・・とにかくも、間に合ってよかったよ」

シ「・・・あ、あの、ですね、大将。せっかくの感動のシーンでなんなんですが・・・」

ア「なにかね?」

シ「あの…そろそろ、服、着てもらえませんか…?目のやり場が…」

ア「ああ、これかね?いいではないか、別に」

シ「よ、よくないですよ!」

ア「それにだな。しばらくこの格好でいたせいか・・。このきわめて自然体な格好が自分の中で定着してしまったようなのだよ。今までの服を着ていた自分が、いかに不自然で愚かだったかを思えるほどに、な。」

シ「カッコイイこと言ってるようですけど、それなんか明らかに目覚めちゃいけないものが目覚めてませんか!?」

ア「む、そうだ、せっかくだからこのまま視察先に出向くとしようか。現地の人間に事の次第を報告するにも説得力があるだろう」

シ「そ・・・それだけは、やめてくださいーーーっ!!!」
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