団長さんと首席さん


アレ「・・・くっ、まさか、私がここまで追い詰められるとは・・・。
よくぞここまでの力を秘めていたものだ。だが、これで最後だ。まいたけ聖剣、閃覇嵐星塵ー!」

ズドカーン(部屋がガラガラ崩れる音)

シュ「・・・なに、やってるんですか」

アレ「敵を倒していた。なかなか手強い相手だった・・・」

シュ「敵って、どこに・・・。」

アレ「これだ。(目の前を指差す)」

シュ「・・・って、これただのゴキブリじゃないですか!?」

アレ「殺虫剤をかけても死ななかったのだ。すさまじい力だった・・・」

シュ「力とかそんなんじゃなくて、単に薬に耐性ついてただけでしょう。いちいち建物を破壊しないでください。最近、騎士団も資金不足で困ってるんですから・・・」

アレ「むう・・・。では、どうすればいい。いくら奴らが単体ではたいした力を持たないとはいえ、のさばらせておくのは危険だ。なんといっても仲間を呼ぶからな」

シュ「まあ、一匹見たら三十匹はいるとか言いますしねえ」

アレ「三十匹、か・・・。その三十匹がまた三十匹を呼び、さらに増えた分が三十匹を呼び・・・。それらがみるみるうちに騎士団全体を飲み込んでゆくわけか。まるで地獄のような光景だな」

シュ「想像したら気持ち悪くなってきました」

アレ「うむ、私もだ」

シュ「じゃあ、とっとと解決させませんか?騎士団がゴキブリに乗っ取られる前に」

アレ「そうしよう。だが、どうする?奴らを一網打尽にする手段でもあればよいが」

シュ「一網打尽・・・。そうだ、確か、ゴキブリほいほいなる商品があったはずです」

アレ「・・・ほいほい?」

シュ「特別な薬品を用いてゴキブリを中に誘引し、底に敷いてある粘着質のシートで身動きを取れなくして捕獲する、箱型のものらしいです」

アレ「なるほど、そのような便利なものがあるのか。早速、ほいほいを騎士団本部の部屋の数だけ手配しろ」

シュ「御意」


(数日後)

アレ「・・・シュヴァーン、任せたぞ」

シュ「・・・いやいや。絶対いやですよ、俺、絶対」

アレ「お前は、我が右腕ではなかったのか」

シュ「大将は、右腕にゴキブリがびっしり入ったほいほいを掴ませて平気なんですか?」

アレ「むう。・・・しかしまさか、一網打尽にした後の処理が自己負担だったとはな」

シュ「そりゃまあ、よくよく考えればそうですよね。勝手に中に入ったゴキブリが消えるわけないですし」

アレ「では、お前が手でつかんでゴミ箱に・・・。右腕の右腕ならまあ許容範囲内だ」

シュ「だから嫌ですって。なんですかその勝手すぎる理屈は」

アレ「仕方がない。かくなるうえは、我が奥義でほいほいごと一気に吹き飛ばして・・・(剣を抜く)」

シュ「や、やめてください大将!!それじゃ最初となんにも変わらないでしょう!!」

アレ「ええい、離せシュヴァーン!!奴らに侵食された騎士団を救うためなのだ!」

シュ「死んでも離しません!みすみす騎士団を崩壊させてたまるかあ!!」



隣の部屋の兵士「・・・い、一体何が起こってるんだ・・・!?」
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