枝が

愚かなケイティ・リルは、枝に刺さって死にました。
何かの事故なのか、自分からそうしたのか、とにかく胸に深々と枝を突き刺して、ケイティ・リルは死んだのです。

「なんで、ケイティ・リルは枝で死んだの?」
「やられた場所が悪かったんだろ。心臓でも貫かれたとか」
「心臓貫かれたら、枝で死ぬの?」
「そりゃあ、死ぬな」

読んでくれ、とせがまれた本を読んでやって、俺はため息をついた。
なんだこれ、子供向けじゃないだろ。
形は一応絵本と言うそれなのだけど、肝心な内容がひどい。
色んな性質の人間が実にバラエティ豊かに死ぬ場面だけが、延々書かれている。
金の亡者、売女、浮気者、人殺しといった救いようのない連中が、転落、首吊り、銃殺、火あぶり、凍死に溺死に圧死。実に楽しげに死んでいく。

そして、こいつが最も興味を示したのは、自分を偽り人を騙して生き続けた女の死に様だった。

「そうなんだ、ウソツキさんは枝で死ぬんだね」

ふうん、となんだか楽しそうな顔をしているこいつが心配でたまらない。
きっとろくな大人にならない。
・・・こいつ、大人になるのかわからないが。


次の日。
仕事から帰ってきた俺は、思わず言葉を失った。
部屋中には、枝、枝、枝。これでもかといわんばかりに撒き散らされていた。
わあ、これまた壮観なことだ。

おかえりなさい、と俺を出迎えたハテナは、誇らしげだった。
「ウソツキさんは枝で死ぬんだよね。だからボク、いっぱいいいっぱい集めたの。どれがいいのか、わからなかったから」
そう言ってにっこり笑ったその顔には、実に楽しそうだ。
今にも襲い掛かってきそうで、でも本人は我慢しているのかすぐにそうする気はないらしく、やたら落ち着かない。しきりに体がそわそわしている。
「どれならKKの心臓を貫けるのかなぁ?」
「これなんか、いいんじゃねえの?」
俺は、一番近くに落ちていた枝を指差した。
適度な太さがあって、先が細くなっていて、これならとりあえずスムーズに事を運んでくれそうで。
「これ?これがいいの?」
ハテナは、それをかがんで拾った。
それを、体の前で構えた。


さて、お立会いのみなさん。
愚かなMr.KKは、枝で刺されて死ぬようです。

理由は、そうさな、ケイティ・リルに聞いてくれ。
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