みぎて
右腕はどちらのものかで喧嘩になったんだ。

僕は神に、左手はあげるから右はちょうだい、と言った。
神も僕に、左手はあげるから右はちょうだい、と言った。
僕が嫌だと言うと、なら足は両方ともあげるから、と、破格な条件をつけてきた。

でも、僕はいやだよ。

だって、右は音を生み出す方向じゃあないか。

音は右から生まれる。
左利きの人も、みんなそうなんだよ。
だから僕は右がいいんだ。

それに、それにね…。

僕を愛してくれる動作も、左よりずっと右のが上手いもの。
足なんてもらっても、僕を慰めてくれることは出来ないだろうし。

よく聞いたら、神もおんなじ理由で右がいいんだって。

そうだよね。

だって、右でしてもらった方が、ずっと気持ちいいもん。
やっぱり、神もおんなじなんだって。



それでね、ずーっと話し合って、結局、右は二人で交代にしよう、ってことになったんだよ。



「ねえ、KK」
僕は、KKの耳元で囁く。

目隠しされて赤ちゃんみたいに「あ、あ…」とずっと声をもらしてたKKも、僕がちょっと声をかければすぐに大人しくなってくれる。
僕が、そう教えてあげたんだ。

「今日は僕の番。いっぱい遊ぼうね」

KKは、びくりと体を震わせた。
どうしよう。
その仕草が、とっても可愛い。

「今日は、ずっと一緒だよ」

僕は可愛いKKの耳たぶを噛みながら、KKにだけ聞こえるように、すっごく小さい声で言った。


「さあ、KK、僕を、たーくさん愛して?」
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リゼ