風邪惹きラヴァーズ
銀時は久しぶりに長谷川と遭遇した。
相変わらずダンボールハウスに住んでいるらしい長谷川は、妙に熱っぽく、咳をしていた。
風邪か、と問うと、たぶんな、と返ってきたので、たぶんじゃねーだろと返しながら、意識が朦朧としている長谷川を万事屋へ招いた。
「銀さん…けほっ、いいよ、風邪うつっちまうし」
「だからってアンタ、あんな生活してたら治るもんも治んねーよ」
新八と神楽には暫く万事屋に来ないように言っておくから安心しろ、と付け足しながら長谷川のサングラスを外してやる。
「銀さんは、…?」
「俺ァここでアンタの看病でもしてやるよ」
「だっ…風邪うつ、けほけほっ」
「はいはい分かったから病人は寝てなさーい」
銀時が長谷川を無理矢理ソファに寝かせる。
適当に取ってきた毛布をかけ、台所へ行ってしまう。
「うぅー…」
抜け出すわけにも行かないし、仕方ないか、と長谷川は銀時の好意に甘えることにした。
意識がぼうっとし、眠気が襲ってきた。
長谷川はそっと目を閉じた。
長谷川が目覚めたのは昼過ぎだった。
(運ばれてきてから…だいたい四時間は寝てた、かな)
はっきりとしない頭で考える。
「おっ、目ェ覚めたな」
「銀、さん」
「どうよ」
「少し、楽になった」
「じゃあ食えるか?」
銀時が温かそうに湯気をたたせるお粥を差し出す。
長谷川はそれを受け取って、じっと見つめた。
「…これ、甘かったりしねーよな」
「大丈夫大丈夫。普通にお粥だって。愛は入れたけどな」
「……」
呆れながら、お粥を口へ運ぶ。
「…うまい」
「だろ?銀さん特製粥」
銀時は長谷川の横に腰を下ろし、お粥を食べる長谷川をにこにこと眺めた。
お粥を食べ終えた長谷川が、空いた皿をテーブルに置きながら言う。
「銀さんさあ…嬉しそうだよなー、人が風邪引いてるってのに」
「おうよ、久しぶりにアンタと二人きりだからな」
「なっ…!」
風邪のせいで赤くなっていた長谷川の頬に、さらに朱が差す。
「はせがぁさんはせがぁさん」
「…なんだよ」
「熱測らせろ」
「強制!?」
銀時はニヤリと笑いながら、長谷川の服を掴んで引き寄せた。
こつん、と額を合わせる。
「っ!?銀さ…」
「んー…長谷川さん熱くね?」
「お前のせいだっ…!」
悪い悪い、と離れ、銀時が台所へぱたぱたと何かを取りに行く。
戻ってくると、その手には、水が入ったコップと薬が握られていた。
さあっ、と長谷川の血の気が引く。
「…まさか」
「そのまさかでぇーす!口移ししまーす」
「い、嫌だ嫌だ嫌だアアア!」
銀時は長谷川の悲鳴を気にせず、のしりと長谷川の上に乗る。
手でしっかり長谷川の顔を捕らえて離さない。
「ゃだ、っ銀さん…風邪うつっちまう…!」
「俺は構わねーよ、アンタの風邪なら」
「っ!」
長谷川が動きを止めている間に、さっと薬と水を口に含み、強く口付ける。
長谷川の口内へ、それらを流し込む。
「ん、んっ…ふ、―」
溢れた水が、隙間から零れる。
長谷川は、なんとか薬と水を飲み込んだ。
思わず涙が落ちる。
が、銀時は長谷川を離さず、そのまま舌を絡める。
「――あ…ふ、ぅっ」
さすがに息が苦しくなった長谷川が銀時を押しのける。
「―――ッ悪ィ」
銀時がぐい、と口を拭いながら長谷川から離れる。
ソファから離れようとしたところで、何かによって後ろに引かれた。
長谷川が、銀時の着物の裾を掴んでいた。
「はせがぁさん、」
長谷川は毛布に顔を隠していたが、少し見えている耳は真っ赤だった。
銀時はクスリと笑って長谷川の頭を撫でる。
可愛い人だなあ、と思ってから、そっと呟いた。
「安心しな、ずっと側にいてやるから」
風邪ならもうとっくに惹いてるさ。
***
風邪ネタは一番銀マダがやりやすいっていう話でした(違う
近藤さんって風邪ひかなそうなん(ry
ちなみに長谷川さんはグラサンしてるほうがいい派です
このタイトルすごい気にいってる(笑)
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