こどものひ





5月5日。
こどもの日。


――――とある男の生まれた日。









「あっ」

屯所にある日めくりカレンダーを一枚捲り、近藤が声を上げる。
それに気付いた沖田が立ち止まる。

「どうしたんですかィ?」

「今日…トシの誕生日…」

「あー…ほんとですねィ。確かこどもの日やしたから」

「俺、気付かずにトシを外の見廻りに送り出しちまった…」

沖田はなるほど、と一人で頷いた。
(さっき土方のヤローが肩落として屯所を出て行ったのはそのせいか)

「まあ、土方さんが帰ってきてから祝ってやっても遅くはないと思いやすぜィ」

「ほんとか総悟!」

近藤はありがとな、と沖田の頭をがしがしと撫でて、足早にその場を去った。
近藤がいなくなった部屋で、沖田はカレンダーに目を向けながら呟いた。

「アンタの態度次第でしょうねィ……近藤さん」







「副長、お疲れ様です」

「特に異常ナシだ。報告書出しとけ」

土方が山崎に指示を出す。
そして襖を開き自分の部屋に入って一服する。

「……」

(近藤さんは…俺の誕生日なんざ忘れちまったか)

そう思いながら、煙草を灰皿に擦り付ける。
と、

「…トシ?入っていい…か?」

「…ああ、いいぜ」

土方の了承を得た近藤が、申し訳無さそうに部屋に入る。
二本目の煙草に火を付ける土方の正面に、ちょこんと正座する。

「どうした?近藤さん」

土方が平然を装って問うと、近藤はガバッと頭を下げた。

「すまねえトシ!今日はトシの誕生日だってのに、朝は忘れてて…」

「近藤さん…」

思わず土方が目を丸くする。
が、すぐに口元に笑みを含みながら近藤の頬に手を添えた。

「トシ…?」

「顔上げてくれよ。アンタが覚えてくれてただけで俺は嬉しいんだ」

「でっ、でも俺…プレゼントとか用意してねーし…」

何が欲しい?、と近藤が問う。
土方は少し考えた後、近藤を己の腕の中に引き寄せ、そっと抱きしめた。

「せっかくの誕生日…いや、こどもの日だからな」

「?」

頭の上に疑問符を浮かべる近藤の額にキスを落とす。

「こどもみてーに、甘えていいか?」

「?…具体的にどういうことだよ?」

額から唇を離し、そのまま近藤の口を塞ぐ。
舌を差し入れて、求めるように絡める。

「ん…っ、んっ…ふぁ」

近藤の後頭部に手を添え引き寄せて、舌を甘噛みする。
びく、と体を震わせる近藤が、愛らしくて仕方がない。
名残惜しさを残しながら唇を離すと、土方は告げた。

「今日一日中…俺の『遊び』に付き合えってこと」


そして、再び唇を重ねた。









次の日。

「っつぅ―――…」

「どうしたんでさァ、近藤さん」

「あ、おはよう総悟……いやあ、腰が痛くてなァ…」

「…てェことは土方さんには許して貰えたんですねィ」

「うん。総悟のアドバイスのおかげだよ!……ていうかなんで許して貰えたって分かったんだ?」

「男の勘でさァ♪」












***

みっ…


短っ!!

…というわけで土方誕記念土近でした

短いな…すいません



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